2024年4月8日月曜日

やっと満開


 都内でも代表的な桜の名所、都立小金井公園は、私の家から歩いて十分くらいのところにあって、格好の散歩場所なのだが、例年四月の第一週に「桜まつり」というのを開催することになっていた。ところが、年々歳々開花が早まるというので、今年は三月の第四週にその祭を設定したところ、あいにくの冴え返りで、その週はまるっきり開花せず、とはいえもうイベントはやめるわけにもいかず、予定通り挙行されたところが、花はゼロ、ただただ出店と人ごみだけという殺風景なる桜まつりになった。しかるに、こんどの週末は満開になった。人生は皮肉である。見に行ってみると、あいにく曇っていて寒い一日だったが、なるほど郷土館前広場は老木の桜が満開になっていた。よく見るとしかし、ここの桜はもう寄る年波か、樹勢が衰えて、花もパッとしない様子になっている。桜は寿命の短い樹(バラ科の樹木である)であるから、そろそろ更新しないとこれからはだんだん枯れるのではあるまいか。もともと、小金井桜というのは江戸時代からの名勝地であったけれど、その頃はたぶん山桜が中心で、玉川上水の堤にズラッと咲いていた。が、それと平行する五日市街道の自動車の振動と排気ガスですっかり枯れてしまい、いまは二代目三代目の樹がほそぼそと咲いているのだが、それも欅などの大樹に押されて、いかにも意気が上がらない。残念なことである。

2024年3月12日火曜日

恒例沢庵、今年は蕪で

 

毎年冬になると、おいしく太った大根を天日に干して、しわしわになるまで干し上げ、それを伝家の糠床にしっくりとつけて、天下無双に美味しい沢庵漬けを作るのが、恒例であるが、今年は、思いがけず、知人から素晴らしく丸々と太った蕪を贈られたので、よし、ひとつこれも蕪沢庵にしてみようと思い立った。かくて、天日に干しているところの写真がこれである。じつはこの干し蕪は、干し上がって、糠床にもじっくりつけ込み、数日前に食べてしまった。いやあ、生の蕪とはまたちがった、独特の甘みと風味が加わって、大根の沢庵とは違う美味であった。また良い蕪が手に入ったら、つくってみることにしよう。概ね、干しに十日、漬けるのに一週間、というところであろうか。もしよい糠床をお持ちのかたは、ぜひお試しを。

2024年3月2日土曜日

自家製マーマレード


  このごろは、マーマレードを作るのが、私の楽しみとなっている。苺やブルーベリーや梅などのジャムも作るけれど、食べて一番の好物はなんといっても自家製のマーマレードに指を屈することになる。
 たまたま、最近さる知人が無農薬栽培の甘夏がたくさん手に入ったからといって送ってくださって、おすそ分けに与った。先日は、別の知人が熊本の不知火を送ってくれたので、それで娘の家の分まで、全部で五壜のマーマレードを作ったが、それももう食べ尽くしてしまったところへ、渡りに舟とて新鮮で安全な甘夏が到来した。さっそく、今日それをマーマレードに作ったのが、この赤い壜詰である。色が赤いのは、煮るときに赤ワインを加えたからである。私のマーマレードの作り方は、ピーラーで、表皮の黄色いところを剥き去って(苦味を抑えるため)、種を除去し、全体を薄切りにして、砂糖、赤ワイン、白ワイン、そして塩一つまみ、黒胡椒の挽き立てをカリカリ、というので、あとはこれが煮詰まるまで三十分ほどコトコト煮る。途中で、マッシャーを使って果肉も皮もマッシュして渾然一体たらしめる。そして水分がほどほどに無くなってきたらできあがりで、煮立っているやつをすぐに壜詰にして堅く蓋をしめる。これで半年でも一年でも持つおいしいマーマレードができるのだが、なーに、この一瓶くらいは、一週間くらいで食べ切ってしまうのである。