2010年2月11日木曜日

生チョコ餅

この茶色い団子のようなものは、「生チョコ餅」というものである。わが敬愛する和菓子舗、小金井名物麩饅頭でおなじみの「三陽」が、最近売り出した品で、むろんヴァレンタイン・デイを睨んだものであろうと思われる。こういうものは、別段三陽の独創というわけではなくて、あちこちにこれと似たようなものがあるだろうと想像される。しかしながら、私はともかくこの店の和菓子が大好きなので、さっそくこの生チョコ餅も買ってみた。中はとろりとした生チョコで、それを羽二重餅風の非常に軟質の薄い求肥餅でくるみ、さらにそのそとにビターなカカオパウダーをまぶした、というわけで、まあごくオーソドックスな作り方だと評すべきものであろう。けれども、じっさいこういうものは、甘さ、質感、苦さ、大きさ、微妙なバランスが大切で、さすがに三陽のそれは見事な出来であった。ヴァレンタインは和菓子で、それが新しい時代の風かもしれない。

2010年2月7日日曜日

武蔵野

まったく、またたく間に時は流れていく。こないだ年が明けたと思ったのに、もう二月になってしまった。『謹訳源氏物語』の成就に向かって、日々斎戒沐浴、文字通り謹んで源氏に向かい合って過している。なにはともあれ、健康を保持するために、毎日十キロの強歩行を欠かさないのだが、そのおかげで、小金井中を歩き回っていろいろと発見がある。この写真は一見すると鬱蒼たる原生林のように見えるが、実は都立小金井公園の中に保存されている武蔵野の雑木林である。私が子供のころは(武蔵野育ちなので)いたるところ、こんな林が残っていて、この今はフェンスで囲まれて立ち入り禁止になってる雑木林も、当時は自由に遊び回ることができた。この厚く積もった落葉の音や匂いは、いまも懐かしく思い出される。小金井は、あまりぱっとしない町だが、ただこういう風景を目にする時、ああ良い町に住んでいるなあ、と嬉しくなる。