2013年4月23日火曜日

満開の桜に一面の雪

まつりごとが乱れていると、天の怒りに触れるのであろうか、天変地異まことに常ならぬことばかり起こって、はなはだ不穏な時代と痛感せずにはいられない。
さて、四月の二十日に、富山の内藤クリニックの主催で、健康についての講演会が催され、今回は100回の特別講演ということで、私が呼ばれて『最期まで元気で暮らしたい』という題目の講演をしてきた。その主たる心は禁煙の勧めなのだが、なおまたそこに、高齢になったからとてなにも諦めるには及ばない、という生き甲斐の話も加味して話したことであった。
それを終えてから、今回は珍しく、源氏も書き終えての骨休めという意味で、近鄰魚津市の金太郎温泉という宿にもう一泊して二十一日の午後に帰京したのだが、あいにくと、この両日は非常に珍しい春の寒波到来で、中部高原地帯はすべて雪ということになった。
帰途について、北国街道を走っていると、「上信越道、雪のためチェーン等冬用装備規制」と電光掲示が出ている。ややや、これは困った。いかになんでも四月の下旬に雪はもうふらないだろうと、つい最近スタッドレスから通常タイヤに履き替えたばかりで、チェーンなども持参していない。
能生インターの事務所で聞いても、さっぱり道路状況は掴めていないとのことで、埒が明かぬ。近くの道の駅の案内に聞いても同じことで、むしろ高速よりも国道148号に回って、姫川、小谷経由で松本へ出て、中央高速で帰った方が安全かもしれぬという人もあった。とはいえ、この糸魚川街道も山深い谷あいを辿る山道で、雪のない保証はない。
結局しかし、あれこれとやっているうちに、規制は解除になったらしく、思いきって上信越道を通って帰ることにした。
なるほど、信濃町から軽井沢あたりまでは両側一面の雪で、路肩にもいくらか雪が積もっている。路傍の桜は満開なのに、地は一面の雪と、実に珍しい景色であった。