一月六日午後、『謹訳源氏物語』の朗読を、ついに読み終えた。2010年の9月から朗読収録に着手、それから毎月だいたい三回のペースで読み続けてきた。途中、本の刊行が収録に追いつかれてしまい、半年ほど放送を中断した期間を設けたりもしたが、その後、再開。この日、すべて無事読了した。一回の放送は25分ほどだが、前後の枠を除いて正味20分弱。これを466回分朗読したのであった。一回の収録には四時間をかけて、だいたい八回ずつとった。最初はちょっと声が疲れるところもあったが、次第に、発声の研究をして、ベルカント発声で淡々と読んでいくとのどがまったく疲れず、それどころか、だんだんと声帯の調子が整ってきて、四時間終えたあとでは、自由自在に歌を歌えるような状態になっていることを発見。これはすごい発見であった。正しい姿勢、正しい発声、それが朗読にはなにより必要であることを見つけたのは大いなる成果であった。
最終回の最後の一行を読むときには、なんともいえない感慨があった。
それが終わって、スタッフたちから、月桂冠と金メダルの授与があり、記念写真を撮った。左から、収録担当の山脇君、ミュージックバードの高木君、同局のアナウンサー兼プロデューサで、わが長年の畏友たる田中君、私、収録担当の荒ヶ田君、そして右端が祥伝社の担当編集の栗原君。
現在その朗読番組はひきつづき放送中だが、いずれこれを放送だけでなくて、なにかの形でCDかデータDVDか、ネット販売か、形を決めて一般に発売できないか、研究中である。