まことにまたご無沙汰で申訳ありません。
ひさしぶりの更新は、ルバーブのコンポートであります。
ふつうのスーパーではまだあまり見かけないが、ルバーブという植物がある。これが、見た目は軸の赤い蕗といった風情なのだが、煮るとまるで苺のようなフルーツの味、というじつに不可思議なもの。これについては『イギリスはおいしい』に縷述してあるので、ぜひ御一読願いたく・・・。
さるほどに、このほどある方から、富士高原にて栽培されているルバーブをたくさん頂戴するという幸いを得た。さっそくこれに砂糖と赤ワインとシナモンと、若干の黒胡椒を加えて色も美しいコンポートを作った。なにぶん蕗の軸のようなものだから、切っているときはザクザクとしてなかなか繊維が強く、こわい感じのテクスチャーなのだが、これを煮るとあっという間にその繊維がほどけてフワフワになってしまうというところがまた、実に不思議である。それゆえ、あまり煮すぎるとすっかり形が崩れてしまうし、酸味が弱くなっておいしくない。あまり煮すぎないところで、ジューシーなコンポートにつくり、これを瓶詰めにして保存すると日もちもするし、実に美味しいものである。
ルバーブは大黄という漢方薬の下剤の一種で、イギリスでも、もともとはそういう薬草として食べられていたものかと思うが、今はまったくフルーツのように愛好される。全体に爽やかな果実的酸味が豊かなのは、おそらくクエン酸やリンゴ酸を含むのであろうし、赤い皮は葡萄の皮などおなじようにポリフェノールを含有するものと想像される。ただ、苺などと違って、糖分は含まれないので、煮る時は、苺などよりも多めの砂糖を入れる必要がある。
こうして美しくでき上がったルバーブのコンポートは、毎朝のトーストに、あるいはヨーグルトに添えて、または豚肉のソテーの薬味として、あるいはカレーを作るときのチャツネ代わりにと広く使える。煮え立っている熱々のをそのまま瓶にいれ、即座に固く蓋をして室温になるまで放置し、そのあと冷蔵庫で冷たくして保存すると長期にも保存できる(冷ましてから瓶詰めしては日もちしないので御注意)。