26日、27日と、長崎へ行ってきた。むろん観光に行ったのではなくて、講演の仕事である。が、いつものように、講演当日の午前中は車を走らせて、「隠れたる名景」を探しに行った。この風景は、大村の町からすこし外れた山の上からの眺めで、折しも好天、しかも、からりと乾燥して空気の冷たい、まるでイギリスの六月のような気持ちのいい朝であった。この写真の背後には、耕して天に至る段畠が山を蔽い、その多くは蜜柑畑だが、いちぶ地を黄金色に染めて菜の花が咲き満ちている畠もあった。大村湾は、まるでとろりとしているように波静かで、あのプッチーニの「ある晴れた日に」などが心のうちに聞こえる気がした。