2012年11月12日月曜日

曽根新田

すっかり更新をせぬまま、とうとう十月も過ぎ、はや霜月となってしまった。
もう冬である。この間私は、謹訳源氏の書き上げに全力を傾注しながら、しかし、秋とあって講演の仕事も多く、東奔西走のなかで、ほとんど休みなく仕事に没頭していたというのが本当のところ、じっさい、さすがの私も相当に疲労困憊の日々が続いている。
さるところ、十月の月末は神戸まで源氏の話をしに出向き、この週末はまた、北九州の小倉にある北九州市立大学まで、こんどは知性論的な話をしに行ってきた。さすがに九州ともなると、車ではいかない。飛行機で行ったのだが、帰りには全日空の最新鋭機、話題のB787に初めて搭乗し、じつに快適なるフライトであったし、またサービスも全日空はまさに痒い所に手が届くという行きかたで、日航はまだこのレベルには達していないという実感がある。
さて、写真は、講演までの時間が少しあったので、小倉のすぐ南にある曽根新田のあたりを逍遥してきた時の一枚で、遠くに見える橋は、北九州空港への連絡橋である。その連絡橋近くまで、はるかに潮が引いて、広大な干潟が現れているのが見て取れる。このあたりは、この干潟を目当てに白鷺などの鳥も多く集まり、なかなか豊かな自然が残されている。そしてまた、岩牡蛎などの養殖もだいぶ盛んに行われているらしい。こういう干潟を見ていると、ここに息づく無数の生物の息吹のようなものがそこはかなく感じられて、心の慰安を感じるのである。