2013年10月18日金曜日

あらえびす記念館


去る十月十三日は、岩手県紫波町の「あらえびす記念館」で、講演とコンサートをしてきた。あらえびすでの公演は、これで三度目。いつもわが敬愛する嶺貞子先生が御声をかけてくださるので、よろこんでお供するという次第である。今回は、とくに『謹訳源氏物語』の完結を記念しての講演であったので、かたがた嬉しくもありありがたくもあった。
ただ、あとに歌の本番が控えているので、講演はできるだけ声帯を疲れさせないように、謹訳源氏の朗読を主として、大声は出さないよう心がけた。歌の本番のほうは、『あんこまパン』全曲、プーランクの『子象ババールの物語』のナレーション、そして、なかにしあかね作曲、林望作詩『げんげ田の道を』のバリトン独唱版初演、さらにアンコールとして、嶺先生はじめ、会場も含めて全員の合唱で滝廉太郎『花』を歌った。
紫波町は、おりしも美しい秋景色で、田の刈り入れは済んで稲架掛けがそちこちにあり、ああ日本の秋だなあと満喫できた。ススキも美しく穂を出して秋風に揺れていた。
前日東京を発ったときは三十度の残暑であったが、夜現地につくと、なんと10度を下回る寒さで震え上がった。結局温度差二十五度にもなる厳しい気候の変化であったけれど、幸いに体調は大丈夫であった。
本番を終えて帰りは、夜の東北自動車道を疾駆して、夜中の二時半に帰京した。東京もすっかり小寒くなっていた。