さる22日、23日の両日、甲府市の甲府コラニー文化ホールの小ホールで、新作のオペラ「MABOROSI」の初演が行われた。
これは、二年ほど前から計画が進み、私が台本を書き、二宮玲子さんが作曲をし、松本重孝さんが演出を担当するということで初演にむけて稽古が進んでいたものである。
写真は、その本番当日、舞台を背後に撮影したもの。
この作品は、源氏物語の「御法」「幻」の両巻、つまり源氏の最晩年と紫上の死を描くところだけを抽出して脚色したもの。
しかし、この両巻は、源氏物語のなかでも、もっとも哀れ深いところで、原作のなかでも名文で綴られている。
第一幕は御法、すなわち紫上の死去の場面。
第二幕は幻、すなわち紫上死後の一年間、源氏が悲しさに呆然としてすごす一年間を描きとおす。
作曲はまことに卓抜で、オーケストレーションも見事なものであった。
昼の部、源氏本岩孝之、紫上小林沙羅、夕霧布施雅也、中宮鵜木絵里ほか
夜の部、源氏鹿又透、紫上佐藤路子、夕霧山本耕平、中宮二見麻衣子ほか
というダブルキャストで上演された。松本演出の手練、また裏方を支えたThe Staff社の職人技、そして指揮者小森康弘の熱演も見事であった。
新作ながら、これで終わりというような作品ではなく、きっとこれから全国であるいは世界に打って出ての再演再々演など、日本オペラのスタンダードになっていくように、ますます努力精進を重ねたいと思う。