ちょっと記述が後先になって恐縮ながら、さる7月18日のライブ演奏のことを書いておかなくてはなるまい。
あのオペラ『MABOROSI』を作曲された二宮玲子さんが、こたびヴァイオリンの安田紀生子さん、ソプラノの賀川ゆう子さんと、三人してタンゴ・マドンナというタンゴバンドを組み、その本格的な旗揚げ公演に先立って、試演会とでもいうべきライブを開催した。荻窪にある「With 遊」という小ぢんまりとしたライブハウスで、客席には三十人ほどしか入らないところではあったが、午後二時からと四時からの、二回公演をした。
二宮さんとは、引き続き作詩と作曲という立場で、お付き合いを願っている、まあ「戦友」であるが、こたびは、まずアストル・ピアソラの名曲『リベルタンゴ』に詩を書いてほしいという、かなり破天荒なご依頼であった。さっそくこの作詩の難しい現代タンゴに、破れた恋の苦しみを歌った詩をつけて、送ったところ、これを二重唱に編曲したので、ぜひ客演してその初演につきあってほしいという、さらに破天荒なるご依頼を頂戴した。ところがこれが非常に難しい曲で、当初はとても無理ではないかと思ったのだが、何事も練習練習、小泉信三先生の言葉の通り「練習は不可能を可能にす」というわけで、なんとか本番に間に合わせたところ、大変ご好評をいただいた。同時に、先日の金沢で初演した『いまひとたび』(高木東六作曲・林 望作詩)も、こたびはピアノとヴァイオリン伴奏編曲版の初演として(二宮玲子編曲)、自分がガルデルにでもなったような心持ちで、すこぶるタンゴらしく歌ったのだが、歌っていてとても楽しかった。
写真は、『リベルタンゴ』を、賀川さんとデュエットしているところのスナップ。このユニットの旗揚げ本公演は、11月22日に予定されているので、またぜひお運びを願うこと然り(詳細は決まり次第、またHPに告知します)。