2020年1月18日土曜日
謡曲独吟
今年は、正月早々から忙しく、ゆっくりと新年を祝ういとまもなかった。
既述のとおり、孫どもはみなアメリカに居て、正月といっても夫婦だけでささやかな祝いだったけれど、さるなかにも、一月六日には毎日新聞に頼まれた鷗外の文体についての小文の〆切りが来る、五日には、日本合唱指揮者協会の研修会での講演はある、というわけで、毎日大わらわのうちに松の内はさっさと終わり、引き続き筑摩書房から出す予定の新著の口述筆記はある、句会はある、JR東日本に頼まれた講演はあるで、毎日ばたばたと駆け回っているうちに、はや一月も半ばを過ぎてしまった。
さるところ、必要あって昔の写真を捜していたら、まだ三十代の頃かと思しき能舞台での写真に逢着した。このころは、津村禮次郎師の膝下にあって熱心に能を学んでいたもので、これはいわゆる素人会で、独吟をしている写真である。梅若能楽堂での一コマ。この時代に蓄積した能のあれこれが、その後何冊も能についての本を書くための下地となった。ありがたいことである。