2020年4月4日土曜日

白いたんぽぽ



 このコロナ禍のなか、ひたすら小金井の陋屋に隠居して、うつらうつらと過ごしているのであるが、さる日々のなかでの大切な日課は、運動である。
 私の日々の運動は、単純に「歩く」ことである。いわゆる「スポーツ」は一切やらない。またフィットネスのようなところに出掛けて、わざわざ金を払って、ベルトコンベアの上で索漠たる歩行時間を過ごそうとはついぞ思わぬ。それは時間と金の無駄である。歩くなら、そこらの道の上を歩くがよろしい。
 幸いに、わが小金井のあたりはまだまだ緑豊かな郊外で、しかもほとんどが住宅地だから、歩くところに不自由することがない。北には小金井公園、南には「はけの道」、また西には滄浪泉園、東に武蔵野恩賜公園、学芸大学の森もあれば、そちこちに残された小緑地もある。そうでなくて、ただ住宅地の細道を歩くのも楽しいし、住宅地のところどころには自然遊歩道も縦横に整備されている。
 しかも、これらの道を歩くには、一銭の金も要らず、つねにアウトドアだからコロナに取りつかれる心配もなく、何より良いのは、四季折々の風景とともに運動できることだ。
 そう思って歩いていると、きょうは珍しくも白いたんぽぽを見付けた。じつはこの辺りの路傍には、気をつけて見ていると、ときどき発見することができるのである。私どもが子供だった時代には、この辺りはそこらじゅうに武蔵野の雑木林や畠のあぜ道があって、少年たちの遊び場に事欠かなかったものだが、今は流石にもうほとんど残っていない。それでも、こうしてふと白いたんぽぽに遭遇したりすると、それだけで、なにか得をしたような気がするから、おもしろい。