2020年5月3日日曜日

加賀太きゅうり



 金沢の北山吉明ドクターが、能登の七尾の高島園という若い篤農家が、手塩にかけて作っている、加賀名産の赤土野菜というのを、箱にいっぱい送って下さった。コロナ合戦の最中の私達には何よりの陣中見舞いだ。
 いろんな、見たことも聞いたこともないような珍しい地場野菜があれこれあったなかに、私の好きな加賀太胡瓜も入っていた。これを加賀の人がどう料理するのかは、良くも知らないのだが、なんでも皮を剥いて薄切りにしたりして食べるらしい。
 しかし、私はこれが手に入ると、まっさきにイギリス式のキューカンバー・サンドウィッチを作ることにしている。なにしろ、イギリスの胡瓜というのは、みなこの加賀太くらいに太くて、もっと長い、巨大な胡瓜だが、加賀太よりも若干皮が薄くて甘みがある。しかし、日本の普通の胡瓜で作ったのでは、キューカンバーサンドの気分が出ないのだ。それゆえ今回も、さっそく作った。
 キューカンバーサンドウィッチは、ごく単純なもので、要するに、マスタード・バターを薄く塗った食パンに、加賀太を五ミリくらいの暑さの輪切りにしたものを乗せ、それにごく少量の塩をふってから、黒胡椒を少したっぷり目に挽きかける。あとはそれをサンドウィッチにして切って食べるばかりである。
 今回は、同時にスクランブル・エッグのサンドも添えた。
 ああ、このキューカンバーサンドウィッチというものは、あまりあれこれと味を付けてはいけない。ただ塩コショウだけ、そのストイックな佇まいがイギリスだ。
 さっそく、熱い熱いミルクティといっしょに、朝食に食べた。うまいなあ。