このごろは、コロナ防疫の観点から、ステイ・ホームの徹底が著しく、そのゆえに今までは外食にも相当に助けられていたところが、いまはもっぱら家で料理して内食一点張りという人も増えたことと思われる。
そのため、毎日三度三度の食事を作るのに、ほとほと草臥れたという愚痴をこぼす人も少なくあるまい。
ところで、私は以前から、いつも書いている如く、毎日の食事は、みな私が調理担当で、妻は作らないが、しかし、もうずっと長い年月こうしてやってきて、食事の仕度が面倒だとも、また何を作ったらいいか困惑するとも、一向に思わない。
それどころか、毎日冷蔵庫にある食材を、どう組み合わせて、何を作るか。毎日変化をつけて、栄養にも留意して、翌日の便通にまで気を配って、和洋中あれこれと作っているが、楽しいとしか思いようがない。
で、その家で食事を作って食べるという愉悦について、じつはもう六年前、2014年に『家めしの王道』という本を、角川SSC新書というシリーズから刊行しているのである。
これも、今ごろ、この誰もが家めしを原則として、頭を悩ましているときに出せばタイムリーだったが、『風邪はひかぬにこしたことはない』(ちくま文庫)と同様、出すのが早過ぎた。この小著には、家で料理をすることの原則、道具、方法、具体的レセピに至るまで、たっぷりと書いてあるので、ぜひご一読いただきたいものだ。
もっともそのレセピの多くは、この『写真日記』にカラー写真入りで掲載してあるので、これも御参照いただければ幸いである。