2022年9月22日木曜日

信濃の秋

 

 ちょっと前に、信州の家から東京に戻った。
 さすがに東京は、信州よりも蒸し暑くて、身心ともしばらく順応しがたい感じであったけれど、やっと秋が来てくれたので、ほっと息を吹き返したというところである。
 信濃の野は、ひと足さきに秋の真っ盛りで、空は高く澄み、雲は朗らかに白く輝いて、田にはもう黄金色の稲穂がこうべを垂れて揺れ、そして、野にはススキが真っ白な穂を広げて、秋の陽に輝いていた。
 今夏は、安曇野の道祖神や石仏を探索して歩いたが、驚くほどそれはたくさん路傍にしづまっていて、どれもみな江戸時代から明治にかけてくらいの、風雪を経た深い味わいがあった。
 信濃の秋は、絵に描いたように美しい。善き哉、信濃。