2009年7月13日月曜日

我が愛用の庖丁たち

ここに並んでいるのは、私の日頃愛用する庖丁のあれこれである。
いずれも、薩摩国、薩摩川内市なる東郷刃物という鍛冶屋さんが
打っている手打ちの庖丁である。値段はちっとも高いものではなく
て、一本三千円以内だから、むしろすこぶる庶民的な品物。しかし
ね、薩摩の鍛冶の力量を侮ってはいけない。さすがに武張った土地
柄ゆえか、これらの刃物は、ハガネが良くて、実に実によく切れ
る。しかも、ちょっと研げばたちまちに切れ味が出て、刃こぼれな
どしない粘り強さも具わっている。右から、大振りな菜切り庖丁、
中型の菜切り庖丁、変形柳葉、鯵切り庖丁、というわけだが、特に
右の二本は私の日常使っているもの。なにしろ五分も研ぐと、トマ
トの上に置いただけで、庖丁自体の重さによって、みごとに二つに
切れてしまうというくらいの切れ味である。バランスもよくて、こ
ういう庖丁で調理することには、それ自体快楽があるのである。私
ども家庭の調理人には、何十万もするようなプロ用の刃物など使う
必要などありはしないのである。