2011年7月4日月曜日

慶応女子高の教え子たち

 七月二日の土曜日、慶応女子高でかつて私が教えた教え子たちが集まって、私の講話を聞く会を開いてくれた。去年にも開催したのだが、またやろうというので、二十人あまり、忙しいなかを集まってくれた。和気靄々、じつに楽しい空気がそこにあって、たちどころに三十五年ほども昔に戻った思いを味わった。彼女たちも、いまはみんな立派なお母さんであったり、社会人であったりするのだが、しかし、不思議にほんわかとした、品格ある雰囲気があって、みな人柄のよい感じが好ましい。私にとっては、慶応の女子高は、心のふるさとのようなところで、そこで教えた六年間は、たいへんだったけれど、とても楽しい年月でもあった。生徒たちはみな優秀で、教育というものが、基本的に人間に対する信頼に基づいてなされるのだという一種の理想主義が、そこにたしかに息づいていた、とでも言ったらよかろうか。私は女子高では非常勤の講師に過ぎなかったが、そのまま専任の教諭になりたいと思っていた。が、その願いは叶わなかった。そのときは残念だったが、それはそれでよかったのだと今は思う。そしてこうして、一介の非常勤講師に過ぎなかった私を囲んで、こんな心楽しい会を開いてくれることのありがたさ。私はつくづく慶応義塾に学んで、そして教えて、よかったなあと思うのである。