2014年6月17日火曜日

青春の影

大昔の写真を一枚お目にかけようか。
これは私どもが大学四年のときに(正確にいうと、私一人は留年しているので、大学三年であったけれど)、親友四人で卒業旅行(?)に箱根に出かけたときに撮った写真である。もともとこういうモノクロの写真なのだが、とても雰囲気があって私の好きな一枚。
 右端は、田崎誠君、彼は三菱商事に就職し、その後ずっと石油化学品関係の仕事をしてつい最近リタイアライフに入った。慶応の志木高校から経済学部卒。私とは大学のクラシカルギタークラブでの仲間として知り合い、大学時代からずっと親友であり続ける。今も折々会っては食事などを共にし、馬鹿話に興じることがある。彼は私と同様酒もタバコもやらないので、大いに共感するところがあるのである。
 私の左にいる美少年も、我が人生の心友で、奈蔵功修(よしのぶ)君(今は髪の毛が消失してしまったので、こういう風情ではないが・・・)。やはり経済学部卒だが、高校までは学習院のお坊ちゃんであった。実家が慶応大学のすぐ裏手のようなところにあって、一生食うに困らない、まあ銀の匙を銜えて生まれてきたという人であろう。彼はもともと田崎君の友人だったのが、いつのまにか仲間になった。その後、同門で観世流の謡曲を学び、なにかと私人としてのつきあいが深い。大学卒業後は三井物産に入ったが、比較的早い時期に早期退職して悠々自適、今はお茶の宗匠のようなことをやって人生を楽しんでいる。現在は私の主宰する句会「夕星(ゆうづつ)俳座」の有力なメンバーでもある。
 左端は渡辺和朗(かずあき)君。彼は商学部を卒業して、日興証券に入り、ずっと経済畑を歩いたが、一時ロンドンに駐在していたころは、折々その寓居におじゃましたものであった。奥方も慶応の文学部で、家族ぐるみのお付き合いとなっている。今はもうリタイアして大磯の邸で庭いじりでもしていることであろう。最近は会わないが、さて元気であろうか。この四人のなかでは唯一の大酒飲みである。好漢自重して健康ならんことを祈る。
 人生の幸福の一つには、良い友を得ること、ということがある。その意味では、私の人生はまことに幸福であったと、彼らに巡り会えた慶應義塾大学に、いまさらながら感謝するのである。