あっというまに月日が経って、もう二月も後半になってしまいました。
相変わらず、バタバタと忙しくしています。
現在は、『謹訳平家物語』の執筆に力を注いでいますが、これは全部で四巻の予定で、その第一巻は、原典の巻1から巻3までの三巻を収めています。今回のは、ほんとうに掛け値なしの「朗読台本」という文体で書いています。たぶん、遅くとも5月には第一巻が刊行になると思いますが、早ければ4月中に間に合うかもしれないと思っています。
さて、そんな日常のなかの楽しみは、いつもながら、隣にすんでいるアメリカン・ボーイズ(孫息子)たちで、毎日毎日疾風のごとくやってきては、さんざんに食べたり飲んだり、遊んだり、そして部屋中をカオス状態にして、また疾風のごとく、さっと引き上げていきます。
ある朝のこと、私たちの食堂のテーブルの上に、こんな紙が置かれていました。
We got your bread, BANDITS(サイン)
これは、孫どもの隊長、長男のタイタス(六歳)が書いて置いていったもので、どうやら昨夜焼き上げてそこに置いておいたパンを、朝一番にやってきてさっさと持って行ってしまったと見えます。なにしろよく食べるので、一斤くらいのパンは、あっという間にかれらの胃袋に消えてしまい、私どもはまた一から焼きなおすという日々です。このBANDITSというのは「盗賊」というほどの意味です。
どうやら、かわいい三人の盗賊が我が食堂を襲撃して、そこに置いてあった焼きたての美味しいパンを強奪していったらしいのでした。はははは。朝起きて、おもわず微笑まざるを得ない、こういうことが人生の晩節には何より楽しいできごとかもしれません。その意味で幸いな人生を、私は感謝しているところです。