いよいよ新年度となり、だんだん初夏の佇まいとなってきました。
さるところ、昨年来書き進めておりました『謹訳平家物語』第一巻が、無事刊行となりました。全四巻の予定ですが、来年の今頃までには全巻完結という予定で現在もその先を書き進めております。
ここもと、その書影をお目にかけます。
『しのびねしふ』に引き続き、『謹訳平家』も、太田徹也先生が装訂ならびに本文等のデザインをすべて担当してくださいました。
あたかも、巻物の本文を読むような、とでもいったらいいような本文デザインも素敵ですが、この装訂デザインを御覧ください。実物は渋い金表紙で、そこにひとすじの色が入ります。これが巻のテーマカラーとでもいう感じでしょうか。帯の下方のローマ字表記は「Qinyacu Feiqe Monogatari」と、いわゆる「天草本平家物語」のポルトガル式ローマ字を用いてあります。
今回は、『源氏物語』とはまったく違う文体で書きました。源氏は淡々と物語るというスタイルですが、平家は、講釈師などの芸能者が朗々と語るような、いっしゅ芸能的文体を採用しています。原典の文体がまったく違うのに、同じような訳文であれば、それはおかしいと私は思っています。
まもなく書店の店頭に並びますので、どうぞ実際に手にとって御覧ください。今回も造本はコデックス方式ですので、フラストレーションなくページが開きます。単に読書としての楽しみだけでなく、朗読会や読み聞かせなどのテキストとして最適なものと思っております。どうぞ皆様よろしくご購読のほど、お願い申し上げます。