2015年10月9日金曜日

図書館と書物の薫り

10月の7日、愛媛県松山市の愛媛大学図書館の招きで、講演にでかけた。
 今回は、図書館の招きとあって、古い本の話をした。題目は上記のとおり、
 「図書館と書物の薫り」
 とした。私はもともとまったく本を読まずに少年時代を過ごした、非読書少年であったというところから説き起こして、どのようにそれが、書物を相手とする学問「書誌学」へと志すようになったのかという、その一部始終をお話した。さらに、日本各地の図書館を訪ねて、さまざまの古い本を調査したこと、また、イギリスをはじめとする西欧の図書館を訪ねてのさまざまな経験など、内容は多岐にわたった。
 場内は満席で、しかしその半分ほどは、愛大附属高校の生徒さんたちが特別研修として聴講していたのであった。
 要は、読書というものはただ漫然とたくさん読めばいいというものではなくて、各自が自分のモティヴェイションと興味にしたがって、じっくりと読み、味わい、そしてその書物を手許に置いて愛惜する心から、読書が血肉になっていくのだという趣旨を話した。さらには、古い典籍をじっさいに調査研究してきた経験をお話して、各国の図書館事情に及んだが、私はちょっと勘違いして、90分の講演だと思い、そのように用意していったところが、実は60分の寸法であったので、かなり端折って大急ぎで話した。もう少し時間が欲しかったなあというのが正直な感想である。しかし、生徒さんたちも熱心に聴いてくれたのはありがたいことであった。