この第三巻は、いよいよ平家が滅亡にむかって、坂道を転げ落ちていく「滅びの章」ともいうべく、全体に悲壮感ただよう名場面が目白押しです。
都落ちの哀話、義仲の沙汰、義経の出陣、一の谷の合戦、そのほか、各地で転戦しながら、しだいに衰微していく平家のありさまが、じつにすばらしい表現で書かれています。私などは訳しながら落涙したくらいの名場面が、いくつもありました。ぜひぜひ、皆さま書店で手に取ってご覧下さい。そしてお求めになって、折々に朗読してみてください。あるいは朗読会などをなさっている方は、ぜひこの一冊を朗読テキストとしてお取り上げください。日本古典のなかでも出色の面白さを、ぜひぜひ感じ取っていただきたいのです。またこの作品は、『源氏物語』などとはことなり、高校生くらいでも充分に理解し味わうことのできるものなので、とくに若いかたがたにご一読をお願いします。
なお本書については、さきごろ毎日新聞に著者インタビューが掲載されたので、下記のサイトでご参照ください。
http://mainichi.jp/articles/20160517/dde/018/040/036000c
また、『赤旗』日曜版5月29日の紙面にも、大きなインタビュー記事が掲載されますので、ご覧いただけますと幸いです。