2016年11月4日金曜日

親芋子芋孫芋


 いまは、ちょうど里芋の新しいのが採れる盛りで、今年も糸魚川の息子の嫁のご実家から、りっぱな里芋などをどっさりと送っていただいた。
 東京では、里芋といえば、コロコロと切り離して袋詰めにされて店頭にでているので、こういう姿の「一家」を見ることはほぼない。
 中央にドンと親芋がひかえ、その周囲にりっぱに太った子芋がいくつも付き、さらにその子芋からまた孫芋までひっついている、一家眷族まことにめでたい姿である。
 私の母などはこの親芋が好きで、よく煮て食べていたが、私はどちらかという子芋のねっとりと軟質なほうが好ましい。祖母は彦根の人で、里芋を煮るときはいつも茹でこぼしてこのぬめりを取ってから煮たそうだが、祖父は東京人で、いつも、
 「そのぬめりがオイシイんじゃないか」
 と文句を言ったそうである。私も祖父に賛成である。
 さっそく、ぬめりなど取る事なく、ねっとりと煮て食べた。まことに香りよく、柔らかで、けっこうな冬の旬菜である。