2017年5月4日木曜日

安曇野の春


 東京はもう初夏という佇まいだが、安曇野はまだ春のただ中にある。
 いまちょうど、田という田に水が張られ、一枚また一枚と田植えが進んでいる。まもなく安曇野はどこも緑の早苗に覆われることであろう。この写真は穂高のあたりの景色だが、まだ背後の北アルプスの山陵には真っ白く雪が積っている。この雪が融けて流れて田を潤し、地に滲み入ってはやがて安曇野の名水を生むのである。


 北国の里山は、針葉樹の濃緑と、落葉樹の若緑とが美しい混淆をなし、そうしてそのはざまに山桜が満開に咲いている。野には連翹、里桜などなど、百花将に繚乱、しかし、このもっとも美しい季節はあっという間に過ぎて、まもなく初夏の佇まいに変じていくことであろう。

 わがエコノミスト村も、新緑が美しく、水仙や菫、躑躅などの花々が可憐に地を彩っている。冬眠から醒めた熊もおそらくはそこらを歩いていることであろう。猿の群れは村の中を我が物顔に徘徊し、狐やカモシカなども目の当たりに見る事ができる。鳥のことはあまり詳しくもないのだが、日なかに老い鴬が鳴くのを聞いた。樹間遥かに見えるのは北葛岳の雪峰である。