ここもとお目にかける品物は、『夜光パン』というもの。これ、
上越市高田の瓦煎餅専門店栄喜堂の店頭にて発見したるお菓子で、
いかになんでも、この「夜光」というネーミングが不思議である。
べつにこのパンが闇の中で光るというわけでもなさそうだ。店頭に
この名の張り紙が出ていたので、さっそく店に入って買い求め、そ
の際、お店の人に、どうしてこれが「夜光」パンなのかとその由来
を尋ねたけれど、「さあー、どうしてでしょうねえ。昔からこの名
前でして」とのことで、さっぱり解らなかった。食べてみると、
しっくりとした感じの固めのパン生地の上にうっすらと砂糖がコー
ティングされているというもの。これが結構おいしい。私はこうい
う味は予て愛好しているので、二袋買ってきたが、たちまち食べて
しまった。家人にも評判がよかった。このネーミングも、たべてみ
るとなんとなく納得出来る感じもあって、名前も味のうち、という
気がした。地方都市にはときどき、こういう面白い名前のお菓子が
あるのでたのしい。ちなみに直江津には「継続だんご」というのも
ある。これも、一種の餡ころ団子なのだが、この名前が愉快でつい
買ってしまうという感じがする。そういえば、鳥取に「風呂敷饅
頭」というあり、松山に「労研饅頭」というあり、饅頭の世界は不
思議に面白い名前が多い。