2014年9月27日土曜日

ロンドンの光と闇

 フィンランドでの仕事を無事終えて、ヘルシンキのぶらぶら散歩も終えて、ロンドンに行った。数年ぶりのロンドンは、またもやかなり様変わりしていた。おそらくオリンピックをはさんでの変化が相当に大きかったのであろう。
まず第一に、かつては真っ黒に汚れ、荒れ果てて、それこそ荒涼たる区域だったsouthwarkの周辺がすっかりリノベーションをされて、面目を一新したのはいいけれど、なんだか薄っぺらい観光エリアになってしまい、ロンドンらしい「闇」が消えてしまったのは、いかにも残念。この写真は、旧市場の建物だが、私が三十年前にここらを歩いていたときは、ほんとに切り裂きジャックでも出てきそうな物騒なところであったし、その先の有名なパブ「The Anchor」も、十九世紀の昔のままでまことに好ましかったものが、今は、すっかりのっぺりした観光客相手のスポットになり、まるで趣をなくしてしまっていた。その一方で、この写真の後ろに写っている硝子張りの阿呆なデザインのビルのような、いわゆるポストモダンの、建築家の頭の悪さと趣味のなさが露見しているような愚劣なビルがあちこちに建っているのはあきれ果てた。この硝子ビルなど、上に行くほど面積がゼロに近くなるので、何のために建てたのか意図が知れぬ。また別の「有機的デザイン」の硝子ビルは、ちょうどそれが集光器の形になって、そのビルの下に車を駐めておくと、太陽光が集中して塗装が焼けて溶けてしまうという、大問題を引き起こしてロンドナーの失笑を買っているらしい。建築家の愚かな趣味と施主の無定見は、なにもわが東京の新国立競技場だけのことではないのである。
さるなかに、この「ロッホファイン」というスコットランドの鮮魚をメインとするレストランは、シティの只中にあって、結構な美味しさであった。しかも、イギリスのレストランとしては、例外的にポーションが小さく、われわれ日本人の口にも合いやすい。私はスコティッシュスモークサーモンを頼んだが、なんと「刺身風」とあって、刺身のように切った脇にわさびと醤油がついてきた。これで銀シャリがあれば申し分なかったが・・・。