2014年9月28日日曜日

ああケンブリッジ!

ロンドンから、ほうほうの体でケンブリッジに到着すると、そこは懐かしくて静かで、アカデミックで、気持ちのよい空気が横溢して、なんともいえない快さを感じた。この背後の高い塔の建物は、ケンブリッジ大学図書館の正面である。この建物こそ、私が三十代に力を尽くして『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』の編述にあたった、思い出の場所である。建物はまったく変わりなくそこに同じように建っていたが、なかは相当に模様替えになっていて、ちょっと面食らうこともあった。だいいち、トイレの水洗が「手かざしリモコン」になっていたのはびっくりした。ただし、もちろんウォシュレットのような仕掛けはありはしなかったが・・・。

ケンブリッジでは、市の中心からすこし離れた、Girton(ガートン)という村に宿るのを常としている。この写真は、そのガートンから市内のほうを遠く望んだもので、この道はHuntingdon Road(ハンティンドン・ロード)と呼ばれる。ちょうど、イギリスの秋らしい霧が立って、向こうの方はすこしぼんやりと霞んで見える。樹々はもう黄葉して、いちだんと瞑想的な雰囲気が感じられる。