2013年1月1日火曜日

謹賀新年

あけましておめでとうございます。
あっという間にまた正月となり、この分では、まばたきを二三度するうちにまた来年の正月になってしまいそうな気配です。
この正月は、『謹訳源氏物語』第九巻の校正をしながら迎えました。もうすぐに校正を終えて、印刷所に送ります。
この写真は、もう四半世紀あまり前、1986年のイギリス留学中に撮影した写真をセピア色に加工したもので、ケンブリッジ近郊のアングルセイ・アベイという僧院でのスナップです。左は息子の大地、右が娘の春菜、いまふたりとも成人して、それぞれに娘が二人と息子が三人、合計五人の孫持ちとなりました。まことに、月日の経つのは早いもので、ついこないだこんな子どもたちだったのが、今や人の親となっているのですから。そうして、息子はボストン、娘はヴァージニアと、いずれもアメリカに住んでいます。
正月早々から、この春菜の一家が総勢五人で賑やかに一時帰国してくるというので、いまやてんやわんやでその準備に明け暮れています。孫どもは、四歳、三歳、二歳、一歳、〇歳と、毎年一人ずつ生まれてきて、まことにめでたいことであります。娘のところの三人息子はアメリカ人とのハーフなので、今やカウボーイのいでたちにシェリフバッジをつけて、毎日ライフルの撃ち合いをしているという按配で、さて彼らがこの日本に来たら、どう感じるでしょうか。興味津々というところです。

2012年12月31日月曜日

2012年大年

激動の、そして呆れ返った2012年も、とうとう最後の日になってしまいました。
一年はあっという間です。
そして、おそらく一生もこうやってあっという間に過ぎていくのであろうという感慨がしきりと去来します。
おかげさまで『謹訳源氏物語』も、ただいま第九巻を最終校正中で、新年早々にはリリースの運びとなりました。残るはあと一巻。第十巻にも、まもなく着手しますが、なにやら名残惜しい気持に駆られる日々でもあります。第十巻の刊行は六月の予定で、遅延のないように最大限の努力を傾けたいと思います。十巻成就の後は、このあまりにも素晴らしい文学の至宝について、できるだけ多くの人にその面白さ美しさを解っていただけるように、全国、いや世界のどこへでも出向いて講演活動などに精出したいと思っています。
どうぞみなさま、相変りませずご支援ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
この写真は、先日大阪のほうへ講演に出向く途中、伊那谷において撮影した南アルプスの連山です。白きたおやかな峰々。よろずこのように、凛乎として、またきよらにありたいものです。
  大年の閑寂なるを愛しをり    宇虚人

2012年12月18日火曜日

巻爪退治

どうもいきなりに、かようなむさくるしい足の爪をお目にかけるのは、まことに申し訳もなきことながら、ちと御勘弁をいただいて、目下進行中の巻爪治療のことをご報告したい。
実は、私は、もうずいぶんと昔から、この右足の親指の左側が巻爪状態で、放っておくと、しだいに爪が肉に食い込んで赤く腫れ、ギンギンと痛み、なおかつ、中が化膿して腫れ上がったりして、じつに具合が悪いのであった。
そこで、半年に一度くらい、近所の行きつけの外科の先生に頼んで、食い込んでいる部分を外科的に切除してもらうと、嘘のように痛みがなくなるのはいいけれど、その手術たるや、麻酔などもなく、いきなり外科用のハサミの切っ先を生爪のなかに突っ込んで、生えてくる根元近くまで切り込むのだから、たまったものではない。むしろこれは、戦争中のスパイの拷問もかくやという壮絶な痛みであって、そこを先生は看護師の人たちといっしょに、わが足を押さえつけて、無理押しに切るのであった。
これはどうもかなわぬと思っていたら、勧める人があって、毎々そんな拷問に耐えずとも、よい治療法があるということを知った。
そこでさっそく行ってみたのが、ドイツ式の樹脂板を貼り付ける方法である。
また例によって、指が真っ赤に腫れて歩くのにも難儀するような痛みになってきたので、さっそく西荻窪の治療院へ行ってみたところ、ご覧のような薄いファイバー板を強力な接着剤で貼り付けるのであった。その前に、爪の表面から生え際まで、きれいに整斉し、かつ徹底消毒などしておいて、そのうえで、丁寧にこの三枚を貼り付けた。
するとその当日はちょっとした圧迫感があったけれど、痛みはたちどころに消え、二日目には違和感も消え、いまでは、このように、爪が平らに伸展して、もう食い込みがきれいになくなっている。これで何ヶ月か、樹脂板を張り替えなどしながら、伸ばしていくのだそうだが、これはほんとに巻爪の人間には福音であって、まことに素晴らしいなあと思った。
こんなふうに横幅広く伸展している足の親指を見たのは、何十年ぶりであろうか。ドイツ人はたいしたものを発明してくれたものと、大いに感謝のあまり、この写真をご披露することにしたというわけである。へい、ごめんくださいまし。

2012年11月30日金曜日

冬じまい

ことしはまた寒い冬になると予報が出た。
例年、12月になると、山梨県の白州にある山荘の冬じまいに行くのだが、今年は、少し早めにしまいにいった。寒波がくると、どうかすると水道が凍ってしまうこともあるので、『謹訳源氏物語』第九巻を脱稿してすぐに、片づけにいったのである。
白州は、もうすっかり初冬のたたずまいで、紅葉はほとんど終りに近く、地面には一面に枯葉が散り敷いていた。そのふかふかとする落葉を踏んで、家の回りを掃除し、水道などの始末をする。それはまたそれで、ちょっとした風情がある。
もうこのところ、忙しくてなかなか山荘へ骨休めに行く事もできないので、毎年三月の末に山荘開きに行き、十二月の初めに冬じまいに行くというだけのことで、じっさいには滞在して休日を楽しむこともできないのは非常に残念な気がする。ここはとても良いところで、行けば空気が良く、風景も静謐でなんともいえない。冬には、薪ストーブなど燃やして、炎を眺めているだけで格好のリラクゼーションになるのだが・・・。
それで、この頃は、この家を売ろうかなあと、夫婦でいつも相談するのだが、いざこうして行ってみると、やっぱり居心地がよくって、なかなか売れないなあと言いながら帰ってくる。
『謹訳源氏物語』も、来年の春には全巻完成の予定なので、それが成就したら、夏でも秋でも、すこしまとめて骨休めに行こうかなと、せめて今はそれを楽しみにしているところである。

2012年11月12日月曜日

曽根新田

すっかり更新をせぬまま、とうとう十月も過ぎ、はや霜月となってしまった。
もう冬である。この間私は、謹訳源氏の書き上げに全力を傾注しながら、しかし、秋とあって講演の仕事も多く、東奔西走のなかで、ほとんど休みなく仕事に没頭していたというのが本当のところ、じっさい、さすがの私も相当に疲労困憊の日々が続いている。
さるところ、十月の月末は神戸まで源氏の話をしに出向き、この週末はまた、北九州の小倉にある北九州市立大学まで、こんどは知性論的な話をしに行ってきた。さすがに九州ともなると、車ではいかない。飛行機で行ったのだが、帰りには全日空の最新鋭機、話題のB787に初めて搭乗し、じつに快適なるフライトであったし、またサービスも全日空はまさに痒い所に手が届くという行きかたで、日航はまだこのレベルには達していないという実感がある。
さて、写真は、講演までの時間が少しあったので、小倉のすぐ南にある曽根新田のあたりを逍遥してきた時の一枚で、遠くに見える橋は、北九州空港への連絡橋である。その連絡橋近くまで、はるかに潮が引いて、広大な干潟が現れているのが見て取れる。このあたりは、この干潟を目当てに白鷺などの鳥も多く集まり、なかなか豊かな自然が残されている。そしてまた、岩牡蛎などの養殖もだいぶ盛んに行われているらしい。こういう干潟を見ていると、ここに息づく無数の生物の息吹のようなものがそこはかなく感じられて、心の慰安を感じるのである。

2012年9月18日火曜日

夕顔はおいしい

このところ、いろいろな方から、素敵な野菜をたくさん頂戴する。まことにありがたいことである。
この巨大なるものは、かの夕顔の実である。すなわち、干瓢の材料になる野菜だが、干瓢はいくらも食べたことがあるけれど、生の夕顔は、ふつう東京の八百屋さんには売ってないので、いまだに料理したことも食べたこともなかった。それが、こたび、糸魚川のほうから送っていただいた。さてこれをどうして食べるかと、考えた末に、ほんの三分の一ほどを切り取って、皮を剥いたあと、ピーラーで薄く削ってから、電子レンジで10分ほど加熱して脱水し、それを油揚げと一緒に炒め煮にした。いやあああああ、じつに美味しい。干した干瓢を戻して煮たのよりずっとこの生のほうが風味がよい。すこしぬめっとして、こりこりと歯ごたえがあって、まことに結構なものであった。東京のスーパーでも売ればいいのになあ。
  夕顔を煮て飯炊いて佳き日なり   宇虚人

2012年9月15日土曜日

久保ファームの蓮根

残暑は依然として収まる気配がないが、きょう、やっと今年の新レンコンの第一回が入荷した。
例によって、まいど贔屓にしている久保ファームのレンコンである。
去年は、一番肝心のときに台風にやられたとかで、作柄がイマイチだったとのことだが、今年は、台風も来ず、よい作柄と見える。
かねて、お盆すぎには、新物の収穫に入るので、そしたら送って欲しいと頼んでおいたのが、稍遅れて、きょうが今年の第一回となった。
クール便で送られてきた段ボールの箱を開けると、なかには、青々として瑞々しい蓮の葉に包まれた美しいレンコンがみっちりと入っていた。この蓮の葉の色の美しいこと、つい嬉しくなって葉もレンコンももろともに写真に撮った。
そして今晩、一本をオリーブ油でソテーして食べたが、充実して素敵なレンコンであった。これからは梨とレンコンの季節で、いずれも気管支の妙薬ゆえ、嬉しい季節になった。