ひきつづき、薩摩シリーズの写真から。
私はなにをかくそう、大の饅頭好きである。和菓子のなかでも、こ
の皮と餡のアンサンブルが楽しめて、土地土地によって、いろいろ
なヴァリエイションがあるというところも、饅頭の楽しみの一つで
ある。そのため、各地に出向くにしたがって、かならずその土地の
ローカルな饅頭の味わうことにしているのだが、さるなかに、日本
随一と言ってもいいくらい、饅頭界の白眉と称すべきものが、この
鹿児島県加治木町の加治木饅頭である。この町は、もともと鉄砲鍛
冶で知られたところで、戊辰戦争のときなどは、加治木大砲隊とい
うのが全国で活躍をするのだが、それとは別に、この饅頭が名物な
のだ。皮には甘酒を練り込んで、ねっとりと湿潤、うす甘く、かす
かに塩気もある。また餡は、店により粒であったり漉しであったり
するが、私はもちろん漉し餡を第一と心得る。この美坂という饅頭
舗のそれは漉し餡でほんわかと温かい蒸し上げを売る。旨い。加治
木随一の饅頭舗は、おそらく新道踏切脇なる新道屋かと思うけれ
ど、そこは連日大人気のため、昼前にいかないと売り切れてしま
う。残念ながら、今回は新道屋の饅頭は売り切れの為手に入らな
かった。また次回に薩摩に行く時は、朝起きして買いにゆくべし。