きょうは、目黒にある喜多能楽堂まで、能の解説の講演に行ってきた。本日は青葉之会といって、観世流銕仙会の柴田稔師の公演で、『楊貴妃』という美しい能の解説であった。これは、唐の白楽天の『長恨歌』『長恨歌序』に材をとって脚色した、舞踊劇的な能で、主人公シテは楊貴妃の霊魂ということになっているのであるが、ただ、それが現世のほうへ化けて出て来るというのではなく、蓬莱島にいる楊貴妃の霊魂に、幻術師が会いに行くというところが珍しいアイディアである。喜多能楽堂は、喜多流の本拠たる能楽堂だが、演能は喜多流ばかりには限らない。きょうもほぼ満員の盛況であった。