今回も、いつも若々しくお元気な清川妙先生と、園芸家・エッセイ作家の桐原春子さんと、お二方が特別聴講にお見えくださった。
詳しく読めば読むほどに、源氏物語の、精妙巧緻な筆の運びに、いつも感心させられる。とかく、ただ読んでいるだけだと、ついついスーッと通り過ぎてしまいがちなものだが、こうして講釈をするために詳しく勉強をすると、なんとなく理解したつもりで通り過ぎていたところにも、こまかな文章の綾が仕掛けられてあったことに、ふと気付いたりすることが多くて、つくづく大変な作品である。
朗読したり、講義したりの間に気付いた謹訳の誤りや、不十分なところについては、増刷のたびに修正補筆しているのだが、今後とも、虚心坦懐にこの大文学に向かい合って、日々少しでも原作そのものに肉迫していくように心がけたいと、そう思うことしきりである。