2009年11月15日日曜日
武蔵野二中
11月14日、武蔵野市立武蔵野第二中学校という中学の創立60周年記念式典が挙行され、私はそこで全校生徒、教職員、来賓、父兄参列者を前に、一時間ほどの記念講演をしてきた。実は私はこの中学校の卒業生で、今の生徒にとっては大先輩にあたる。ここを卒業したのは昭和三十九年三月、つまりあの東京オリンピックの年である。しかも創立六十年ということは、私の生まれた年とこの中学の創立は同年だったということで、かたがたご縁が深い。が、校舎自体はすべて建て直されて当時の面影は皆無であった。私が中学生だった時分、このあたりはまだ茫漠たる武蔵野の面影があって、そこらじゅう麦畑、芝生畑、そして雑木林だった。そんななかで、私は日々山野を跋渉して呑気な小中学生時代を過ごした。少しも本などは読まなかった。けれども授業は一生懸命に聞いていた熱心な生徒ではあったので、成績はすこぶる良かった。まだ受験塾などに通わずとも、真面目に授業を聞いてさえいれば都立の有力な高校にいくらも進める、そういう良い時代であった。私はここを卒業してから、都立戸山高校に進んだが、そのあたりのことは拙著『帰らぬ日遠い昔』に詳しく書いてあるから、御一読くださらば幸甚。