2010年8月16日月曜日
閉門
数日前から、いやな夏風邪に冒され、きょうなどは、ずいぶんと熱が出て朦朧として過した。いっこうによくなる気配もない。ところが、これがどこでウイルスをキャッチしたものだか見当もつかない。私は『風邪はひかぬにこしたことはない』(ちくま文庫)という本を書いたくらい、風邪の予防にはあらゆる手を尽して、変人奇人呼ばわりされているくらいなのだ。おそらくは、先日の日比谷での美楽舎講演か(これがいちばんアヤシイ)、そのあとの武蔵野自由大学での講義か、そのあたりのところで感染したものだとしか思いようがない。それにしてもずいぶんとひどい風邪で、こういうウイルスをまき散らした人間を草の根を分けても探し出して文句を言いたい気分であるが、むろんそれはわからぬ。こんなことでは、いっそ「閉門」という大看板を出して、いっさいの面会も、講演も、講義も、なにもかも謝絶して、ひたすら草廬に隠遁したいとまで思うけれど、それもままならぬし・・・。とかく風邪には効く薬がないというのが、もっとも困ったところである。ともかくひどい気管支炎状態で、息苦しく、横にもなれない。これでまた源氏執筆を初めとしてすべての仕事が押せ押せで遅れてしまう。私にとっては、風邪を引くことは、すなわち経済的にも大打撃なのである。