2010年10月12日火曜日
ほんとうにいきいき
「いきいき」という会員制の雑誌をご存知だろうか。私はこの雑誌に、最近源氏物語についてのエッセイを連載開始したのだが、そんなご縁もあって、10月9日に清川妙さんと、日本の古典文学を巡っての講演会と対談をしてきた。清川さんは、奈良高等女子師範ご出身、現在89歳というから、私の母と同じ歳である。私の母は、もう十三年ほど前に他界したが、清川さんは、いやはや、とんでもなくお元気な方で、頭脳はまったく明晰、表情も豊かに、つぎつぎと面白い話を繰り出される。この柔軟な頭脳・・・それにお人柄も・・・と、積極的に前進していこうする活動性、知的好奇心、プラス思考、すべてが私どもにとってのお手本になるような方である。清川さんは、枕草子や徒然草がご専門で、昔実際に女子教育の教壇に立っておられたというご経歴だが、その後、主婦をされていたところから、また一念発起して作家になられ、さらにいまは、またその酸いも甘いもかみ分けた豊かな人生経験を生かしての、楽しい古典講釈に力を注いでおられる。「いきいき」でも、枕草子についての連載をずっとしておられたが、これがほんとうに深みのある面白い連載であった。また徒然草の連載も最近まで続けておられたし、なおかつ万葉集についてのご著書だとか、古典一般についていろいろと発言をしておられる。この日の会は、ほとんどが清川ファンの集いという感じでもあったけれど、しかし、聴衆の熱心で真面目なことは特筆すべきもの、遠く岩手、広島、佐賀など、各地から駆けつけた(ほとんどはシニアのご婦人がた)聴衆で大変な熱気がこもった。私の話しも熱心に聞かれ、次に清川さんの講演は、講演というより女学校の教室という感じさえした。あとは談論風発、楽しい対談になった。