2009年10月12日月曜日

あらえびすの里にて


11日、岩手県紫波町のあらえびす野村胡堂記念館で、『古典文学の愉しみ』という講演をして、そのあと、歌を歌ってきた。今回も、『あんこまパン』。これが、ほんとうに心の温かな聴衆の皆さんにおおいに励まされた感じで、一挙手一投足に爆笑また爆笑という、大受けの舞台であった。この会は、野村胡堂の実家に近く、美しい田園を見下ろすところに建っている記念館で、野村胡堂奨学金を受けた人たちが恩返しのような心で音楽や講演をするというものであったが、私は、いつもお世話をいただいている東京芸大名誉教授峯貞子先生のお声がかりで、奨学金とは関係ないけれど講演と歌をさせていただいたのである。芸大筝曲の安藤政輝教授、珠希さん父娘とも御一緒で、最後は和洋揃って一同で『朧月夜』『野菊』を演奏した。ピアノは有森博君と五味こずえ君。そういえば、今回の会は、私の命名で「和洋あいあい、東西音楽の交歓」と題し、その題字も私が揮毫したのだった。この会は二度目だけれど、いつも気持の良い会である。折しも秋の刈り入れが終わった田園はまさに山紫水明の所という風光明媚な土地で、風景で愉しみ、人情を愉しみ、そして終わってからの野村家での御馳走に大いに舌鼓をうち、よいことばかりの一日であった。宴会を中座してすぐに帰京の途についたが、七時間ほどの深夜ドライブをまた愉しみながら、午前三時に帰り着いた。ああ、楽しかった。