2009年10月13日火曜日

おや、こんなものが

秋の良い日和に誘われて、また、緊張して固くなった体をほぐすというつもりもあって、午後のよい時間に近所を歩き回ってみた。小金井街道を北上して、西武新宿線の花小金井駅まで行って、その間にあちこちと脇道をたどってみたりしつつ、あれこれ眺めて、なかなか面白い散歩(といっても歩き方は例の超速歩で、どんどん歩くのである)であった。いつもこういうときにはカメラを持って歩くのだが、きょうも愛用のルミックスを手に歩いていたら、ふと、街道脇に、なかなか由緒ありげな小祠があるのに初めて気がついた。いままでこの道を何度も歩いているけれど、見過ごしていたのは不思議である。見れば、どうやらこれは馬頭観音の祠である。昔、この辺りがまだのどかな農村であった時分には、馬は農耕に欠かせない家畜であった。農家にとっては必須の道具であり家族でもあったと言ってもよい。そういう時代には、馬の観音様も信仰されたもので、こうした馬頭観音は全国の農村に数多く残っている。なつかしさについパチリと一枚。これも昔、私が中学生のころに、若杉慧という写真家の書いた『野の仏』というフォトエッセイがあって、そのなかの馬頭観音の写真と文が教科書に出ていた。とてもしんみりした良い文章で、私が「文体」ということを意識した最初の文章であったのだ。そんなことも思い出した。