2010年11月21日日曜日
回想の力
昨日は、北名古屋市という、名古屋北部の町で開催された、「回想法シンポジウム」という会に招かれて、『ついこの間あった昔』というテーマで基調講演をしてきた。回想法というのは、イギリスで発達し実践されている一種の心理療法(というか、もっと広い概念)で、多くの人が、それぞれの少年時代や青春時代を回想し、またその回想のよすがになるような品物(たとえば、ブラウン管テレビとか真空管ラジオとか、洗濯板とかちゃぶ台とか)を巡って、回想を語り合うことによって、人と人のコミュニケーションを回復し、また脳の活性化、心の若返りなどを図ろうという運動である。これが結構面白く、こんご全国的に展開されることが望まれる。北名古屋市は、合併によってできた新しい市だが、行ってみるとまだ近郊農業がさかんに行われている都市型農村と新開発住宅地の混交する典型的郊外地であった。しかし、このシンポジウムは800人ほどの参加者を得て、ホールが超満員という盛況であった。外の田は刈り入れが済んで、その稲の切りくいから、青々とした新芽が伸びていた。こういうのを「ひこばえ」というのである。冬のなかの小さな春、まさに小春日和に相応しい景物であった。