2010年1月5日火曜日

ロシアの黒熊の帽子

みなさま、あけましておめでとうございます。
どうそ本年もよろしくお引き立てのほどお願い申し上げます。
さて、このものものしい重装備は、私の厳冬時における深夜散歩の出で立ちである。まあ、このダウンジャケットを着ている下にはたいていフリースなどの温かいシャツを着ているので、防寒はそれで十分であるが、頭はやはりこういう帽子を被るのがもっともよい。この帽子は、今を去ること二十五年ほど前に、ケンブリッジ大学からの派遣で、当寺まだソビエト連邦と言っていた頃のロシアの旧都レニングラード(現サンクトペテルブルグ)に研究調査に赴いた折、同地のデパートにおいて手に入れたシベリア黒熊の帽子である。こういうものを買うのでさえ、ソビエト時代のロシアでは、半日がかりの大仕事で往生した記憶がある。なにしろ、店の不親切無愛想無サービスはひどいものであった。が、この帽子の性能はすごい。どんなに寒くてもこれさえあれば頭の寒さはまったく感じないし、二十五年も経っていて、毎年冬には毎日被って歩き、あとの季節はただしまってあるだけなのに、一切毛並みも艶も変らないし、カビなども生えない。実に快適である。さすにがこういうものだけは、ロシアが世界一だという確信がある。もっとも、この帽子は相当に高価であったけれど。