2018年11月26日月曜日

勝又晃君夫妻のデュオリサイタル



 きょうは、新宿のオペラシティなるリサイタル・ホールを会場として、わが声楽の師であり、男声二重唱ユニット「デュオ・アミーチ」の相棒でもある、テノール歌手勝又晃君とお連れ合いの岡村由美子さん(コロラトゥーラ・ソプラノ)のデュオによるリサイタルが開催された。お招きを頂いて、いそいそと聴きに出かけた。このリサイタル・ホールには初めて足を踏み入れたが、なかなかよい寸法の、また響きも悪くないホールで、いずれはこういうところで演奏会をやってみたいものだと思った。
 プログラムは、前半は、イタリア古典歌曲と、オペラ『愛の妙薬』(ドニゼッティ)のサワリ集ともいうべき趣向で、背景に歌の日本語訳や泰西風景などが映し出されて、面白く趣向が構えてあった。このネモリーノというテノール役は、勝又君に真向きの役であり、由美子さんはまたかわいらしくてアディーナにうってつけであった。
 第二部は、なつかしい名歌集という趣向で、日本語の歌かれこれ、とくに冬の名歌のメドレーは新しくこのリサイタルのために編曲されたものだとのこと。楽しそうに歌うお二人が羨ましいことであった。ところが、それが終ってからのアンコールの一曲として、わが『旅のソネット』の第一曲「旅立とう」を、勝又君が、イタリア仕込みの燦然と輝くような美声で、高く朗々と歌ってくれたのは、この曲のためには大いなる幸いであった。この曲はこういう高い調子で歌われると、もっともその本領を発揮するということがわかって、いつかこの調で、勝又君とも二重唱を試みたいという思いが沸々と湧いてくるのであった。写真は終演後にフォワイエにて。

2018年11月20日火曜日

小金井市歌・愛唱歌CD


 去る10月7日の小金井市市制六十周年記念式典で披露された、市歌『光さす野辺』と市民愛唱歌『夢みる町』については、すでに市のHPでMP3の音源が公開されているけれど、実は、わが林望事務所制作の高音質CDが出来上がっている。音源として、市歌は田代和久(バリトン)独唱、東京学芸大学音楽科合唱クラスの演奏による、混声の二部合唱、四部合唱、また愛唱歌のほうは、鳥木弥生(メゾソプラノ)独唱、おなじく学芸大学音楽科の混声四部合唱(演奏会ヴァージョン)の音源が収録されている。そしてすべての歌詩と、メロディー譜、作詩者・作曲者のコメントをディスクノートに収載している。もし市のHPで公開されている音源や、貸し出しているCDRの音源では物足りない方や、このCDを購入したいという方は、林望事務所で実費頒布に応じているので、御連絡ください。このジャケットの写真は私自身が撮影したこの春の野川の景色、CDに印刷されている桜の花も同じく私が撮影した小金井堤の桜の花の画像をあしらったものである。頒布実費は1500円。

2018年11月16日金曜日

命短し、恋せよオヤヂ!


 11月14日、午後七時から、恒例の紀尾井町サロンを会場として、われらがデュオ・ドットラーレの演奏会『命短し、恋せよオヤヂ!』を開催した。
 去年の夏から苦しまされた喘息からの脱却と、すっかり痛めてしまった声の回復のための声帯リハビリに力を尽して、どうにかこの本番に間に合わせて声を回復することができたのは、まさに薄氷の思いであった。
 北山先生は、絶好調いつものとおりで、羨ましいことであった。
 プログラムは、次のとおり。

 第一部(K=北山、H=林、無印は二重唱)
     ゴンドラの唄 吉井勇作詩 中山晋平作曲  
  洒落男 キャバレロ作詩 坂井透日本語詞 F・クルミット作曲 K  
  君帰る日は レ・ペーラ作詩  林 望 訳詩 C・ガルデル作曲 H  
  こいつぁだめさ レ・ペーラ作詩 林 望 訳詩 C・ガルデル作曲 K 
  君といつまでも 岩谷時子作詩 弾 厚作作曲
  Man is for the woman made  
                      P.A.モットー作詩 H.パーセル作曲  ブリテン編曲 H
  I attempt from love’s sickness to fly
             ドライデン&ハワード作詩 H.パーセル作曲  ブリテン編曲 H
  禁じられた歌 フリック・フロック作詩 S. ガスタルドン作曲  K
  Silent Noon  D.G.ロセッティ作詩 R. ヴォーン=ウイリアムズ作曲 H
  カタリ・カタリ R.コルディフェッロ作詩 S.カルディッロ作曲 K
第二部
  組歌曲『旅のソネット』 男声二重唱版
               林 望作詩  二宮玲子作曲・編曲
 1 旅立とう 二重唱
 2 一つの時代 北山
 3 行き止まる 林
 4 紫雲英田の道を 北山
 5 花火  林
 6 和尚さん  北山
 7 八甲田 二重唱

 このほかにアンコールとして『白いブランコ』『アロハオエ』いずれも二重唱で演奏した。たのしい演奏会であった。写真は、左から林、井谷佳代さん(pf)、そして北山ドクター。さあ、来年はどういうプログラムにしようかと、すでにもう考え始めている。

2018年11月3日土曜日

信濃路は秋盛り


 1日の木曜日に、大町の山荘まで、日帰りで片づけに行ってきた。
 というのは、夏に山荘から帰ってきたときには、またすぐ戻るつもりで、簡単に片づけた程度だったのが、実際には、台風の襲来やら、仕事のひっ迫やら、いろいろなことに邪魔されて、それっきり行くことができなかった。
 そのため、冷蔵庫の中とか、いろいろ片づけてこないといけなかったので、大急ぎで日帰りしたというわけである。
 行ってみると、道中はまだまだ紅葉は始まったところで、大したことはなかったのだが、信濃路に入ると俄に色が濃くなり、エコノミスト村内は、まさに目を奪われるような紅葉の真っ盛り、濃く淡く、黄に赤に緋に茶に、無限の色のグラデーションの美しさは、これが自然の力なのだと、今更ながらに感銘を深くした。こういう自然の美しさを「あはれ」と見る目と心は、ディズニーランドだの、ナニガシ公園の電飾だの、そういうさかしらなる人為をむしろ「見たくないもの」として拒絶する。あさはかなる人知は、とうてい自然の偉大さにかなうものではない。が、この綾羅錦繍の景色はほんの一時(いっとき)のこと、万物は無常である。今年は良い時に見ることができて、まことに幸いであった。善き哉信州、善き哉日本の秋!