2008年10月19日日曜日

日本語は死にかかっている

これが、その『日本語は死にかかっている』の書影である。週明け
には店頭に並ぶ予定。

文章の品格

この十月は、私にとっては新刊のラッシュ状態で、NTT出版か
ら『日本語は死にかかっている』という本を出してサイン会をやっ
たことは既述の通りだが、ほぼ同時に、朝日出版社からは、この写
真の『文章の品格』という本をだした。この本は、しばらくまえ
に、NHK教育テレビで放送した番組用に書いたテキストを、大幅
に加筆修正したもので、全体として品格ある文章を書くための心
得、あるいは原則、といたようなことをテーマとしている。もとも
と放送用のテキストなので、ごく平易な文章で、誰にも分かり易
く、実践しやすく、ということを意図して書いてある。この際、ぜ
ひとも、この両著を併せ読んでいただくことで、話し言葉と書き言
葉と、両方とも品格ある日本語が使えるようにと願っているところ
である。いずれもそろそろ一般書店店頭に並ぶころかと思うので、
手に取って御覧いただければ幸い。十月はあと二冊、全然違うジャ
ンルの拙著が出る予定だが、それはまたいずれ。

打ち上げ

16日の夕刻六時から、東京駅八重洲口前、八重洲ブックセンター
で、新刊拙著のサイン会があった。この新著はNTT出版から出た
『日本語は死にかかっている』という本で、NTTライブラリー・
レゾナントというシリーズの一冊として書いたものである。題名が
相当に刺激的なせいか、サイン会には大勢のお客さんが来てくだ
さったが、その大半が男性客であるのにびっくりした。いままでの
拙著にはない傾向で、場所柄、また時間柄ということもあるかもし
れないが、それだけではないような気がする。サイン会を無事終え
てから、出版社が打ち上げの会を設営してくれた。田町駅の近くに
ある『牡丹』という大きな日本料理屋であったが、中山逹也料理長
の采配よろしきを得て、趣向豊かな名菜が並んだ。聞けば、編集部
が、私の低脂肪食ということをよく板場と相談して特別に献立して
くれたものらしい。ありがたいことである。そのなかから、写真上
はえい鰭旨煮、向こう側に手毬菊花蕪、右側に黒豆湯葉、手前に春
菊と菊花の浸し物、このえい鰭は、軟骨がほろほろになるまでよく
煮込んであって、やさしい口触りの一品。写真下は、鮑柔煮にケイ
パーと赤粒胡椒を添えたもの、手前は、味噌柚餅子が二片、右のや
や緑がかったものは鮑の肝の旨煮。〆には手打ちの越前蕎麦という
趣向。秋らしい食卓の風景を大いに楽しんで夜も更けた。

2008年10月18日土曜日

打ち上げ

2008年10月13日月曜日

せんくら

10月11日、「せんくら」こと、仙台クラシック・フェスティ
バル(第三回)で2公演歌ってきました。これでせんくらは二度目
の出演です。今回のお相方は、メゾソプラノの田辺いづみさん(写
真左)。朗々たる美声のメゾで、ご一緒するのこれが二回目。ピア
ノは毎度おなじみ、いつもの相棒、名手五味こずえさん(同右)。
今回は、ちょっと夜の遅い公演などもあって、はたしてお客さんが
来てくださるかどうか、だいぶ気をもみましたが、幸いに、よい聴
衆がたに恵まれて、ほんとうに気持ちの良い、楽しい演奏をするこ
とができました。第一部は、『朧月夜』『花』(滝廉太郎の)な
ど、おなじみの日本の名歌、それからイギリス民謡のいくつかを歌
いました。独唱は、いずれもブリテン編曲のイギリス民謡集のなか
から、私が『The Plough Boy』『Lincolnshire
Poacher』の二曲、以前よりも調を上げて、テノール用原譜に近い高
さで歌いました。田辺さんは、『The Last Rose of Summer』
おなじみアイルランドの名歌です。第二部では、私が『あんこまパ
ン』を、田辺さんは『浜辺の歌』をそれぞれ独唱、あとは、モー
ツァルトのオペラデュエットあり、ロッシーニの『猫の二重唱』あ
り、フランクの『パニス・アンジェリクス』ありと盛りだくさん。
ああ、楽しかった。

2008年10月6日月曜日

林流鼻泉道の極意

 かねて、私が鼻を洗うことを以て万病を防ぐ基としていること
は、知る人ぞ知る、知らぬ人ぞ知らぬ(当たり前か・・)事実であ
るが、その鼻を洗うのを怖がる人が多い。痛いのではないか、と
か、ツンと来るだろうとか、およそ分かっていない意見が多いのは
まことに遺憾であるが、私はこの道を極めること既に二十余年、夙
に林流鼻泉道(以前は鼻洗道と書いていたが、字まことに雅ならざ
るを以て、近年改めてかくのごとくす。これでビセンドウと読むの
である。呵呵)の開祖として多くの門弟を擁することは知る人ぞ知
る、知らぬ人ぞ知らぬ道理なれども、いまその極意というか、じっ
さいに実演してるところを写真に撮ったので、ここもとお目にかけ
る。わが口から、滝のごとく、あるいは龍巻のごとく大量の塩湯が
排出されているところを御覧ぜよ。この勢いで滔々たる水流を以て
鼻中を洗う。口より湧き出ずること、泉のごとし、というので、鼻
泉道という。これをすると気持ちいいだけでなく、風邪の予防に著
効あり。くわしくはこれから出る拙著『風邪はひかぬにこしたこと
はない』(筑摩書房刊)を熟読玩味されよ。

2008年10月4日土曜日

大阪天満薄暮

もう数日前になるけれど、9月29日に、大阪の帝国ホテ
ルで催された講演会に、日帰りで行ってきた。大阪の帝国ホテル
は、ちょうどこの天満橋のあたりにあって、地上で見ると大したこ
とはないのだが、上層階のラウンジから見おろす風景はなかなかの
ものである。大阪をよく知る編集者が、「ここは大阪でいちばん美
しい景色かもしれません」と言っていたけれど、なるほどそうかも
しれない。そもそも大阪は緑が少なくて、町並みにもあまり潤いが
ないので、私はあまり好きではないが、このあたりから、中之島の
あたりばかりは、水の都大阪というキャッチフレーズが似合う町並
みである。あいにくの雨天だったけれど、かえってそのほうがしっ
とりして風情があるように見えた。天満橋界隈、天空の薄暮。

2008年10月3日金曜日

正真正銘の国産松茸

ここもとお目にかけまするは、これぞ正真正銘、保証付きの岩手県
産松茸でござります。さる友人が、岩手の実家から送ってきたから
というので、ありがたくもおすそ分けに与ったのである。さっそ
く、これはぜんぶ松茸ご飯にして食べてしまったが、松茸の香り
は、炊き立てだけでなくて、ご飯が冷めても、またそれを電子レン
ジで温めても、決して消えない。すごいものである。そうして、松
茸の香りに似せた匂いは人工の香料でも付けることができる、とは
いうものの、香料の香りは所詮香料であって、天然の松茸の香りと
は格段の違いである。どこが違うといって、やっぱりこの品格が違
う。天然は、これみよがしなところが皆無で、ふんわりと鼻の奥の
ほうへさしのぼってくるが、人工のは、鼻先にべったりとひっつ
く。それにしても、この岩手の山で採れた松茸のおいしかったこ
と。合掌。感謝。