2018年10月29日月曜日

おおまさり


 まだまだ、世の中には、見参したことのない名品がいくらもあるものだと、またもや感銘を受けた。
 きのうの日曜28日には、尾張の一宮市で行われた、消防音楽隊の第四十回の定期演奏会にゲスト司会として招かれたので、行ってきた。というのは、今回のプログラムが、イギリスの音楽に特化して編まれたからである。
 そこで私は、英国王室のこと、グリーンスリーブスのこと、スコットランドやアイルランドのこと、シェークスピアと英国歌曲のこと、英国のお茶のこと、あるいは英国情報機関と007のこと、さらには、わが愛してやまない『オペラ座の怪人』論に至るまで、時間の許すかぎりでいろんなことをお話ししてきたところである。
 演奏はまことにワクワクするような格好良さで、ああ吹奏楽もいいなあと思った。指揮者の鈴木竜哉君の颯爽たる指揮ぶりもとても良かった。
 そのコンサートの司会をされたのが、書家としても大活躍の矢野きよ実さんで、名古屋弁での熱弁も楽しく、私自身もおおいに楽しませていただいたし、水際立った捌きぶりで、私の話しもうまく差配して下さったのはありがたかった。
 さて今回の主題は、この写真に写っている巨大な落花生である。これは矢野さんのご知友の後藤玲司さんが手塩にかけて育てられた「おおまさり」という特別の落花生で、ちょうど今の時期が旬であり、今しか手に入らないという名品を、私にもおすそ分けくださったのである。見よ、このサイズ。下に写っているのが通常の落花生だから、およそその三倍もあろうか。これは茹でて食べる品種で、さっそく説明書の通りに茹でて食べたところ、まあその豊潤な味わい! 苦味や渋味などの雑味は無く、すっきりとした香りで、なおかつほんのりと甘い。一個食べると二個、二個食べると三個、と切りがない。落花生は栄養満点なだけでなく、血圧やコレステロールを下げて病気の予防にも効果があるということはすでにアメリカのほうで証明されている。きょうのお茶の時間には、これで大いに口果報をさせていただいた。世の中にはすばらしいものがあるものである。なお一緒に写っているのは、拙宅の庭でなった甘柿である。

2018年10月22日月曜日

アップル・クランブル



 わがオフィスでは、毎日三時になると、イギリス的風習に随って、私ども夫婦と秘書の井上君と三人でお茶をすることになっている。このお茶のときに、たとえばスコンのようなイギリスのスイーツを作って食べることが多い。同時にそれは、井上君に簡単でおいしいイギリス菓子の作り方を、家元直々に伝授するという機会でもある。
 きのう、伊那の新井農園から、低農薬で完熟したすばらしい紅玉リンゴが届いた。これは教え子のK君が毎年送ってくれるのである。これがまた、酸味と甘味と果肉のテクスチャーと香りと色と、すべてがよくバランスした大振りで見事な逸品である。
 そこで、この紅玉を使って、きょうは「アップル・クランブル」を作ることにした。
 クランブルを作る方法は簡単で、マグ一杯の小麦粉と同じく半分の砂糖とを混ぜ、そこにバターを100gほど、これはまた例のとおり、指先でよく粉のなかに粉砕してこなしこむ(rub in)。きょうはそこに、砕いたナッツ類を味わいとして混ぜこみ、リンゴは生のまま小さく切って、砂糖とシナモンを加えて耐熱容器に盛り、その上から、上記のクランブル生地をざっくりと掛けて蔽い、180度に熱したオーブンで、きょうは約一時間焼いてみた。リンゴが生で使ってあるので、焼くのには時間がかかる。一時間のうちの前半は全体をホイルで蔽って焼くのである。
 リンゴがグツグツと煮えてきて、上のクランブル地がざくざくと割れたようになってきたら出来上がり。ほんとはこれにカスタードソース(ただし、甘くないもの)を掛けて食べるのが本場風だが、きょうは何も掛けず、そのまま食べた。充分においしかった。