2012年12月31日月曜日

2012年大年

激動の、そして呆れ返った2012年も、とうとう最後の日になってしまいました。
一年はあっという間です。
そして、おそらく一生もこうやってあっという間に過ぎていくのであろうという感慨がしきりと去来します。
おかげさまで『謹訳源氏物語』も、ただいま第九巻を最終校正中で、新年早々にはリリースの運びとなりました。残るはあと一巻。第十巻にも、まもなく着手しますが、なにやら名残惜しい気持に駆られる日々でもあります。第十巻の刊行は六月の予定で、遅延のないように最大限の努力を傾けたいと思います。十巻成就の後は、このあまりにも素晴らしい文学の至宝について、できるだけ多くの人にその面白さ美しさを解っていただけるように、全国、いや世界のどこへでも出向いて講演活動などに精出したいと思っています。
どうぞみなさま、相変りませずご支援ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
この写真は、先日大阪のほうへ講演に出向く途中、伊那谷において撮影した南アルプスの連山です。白きたおやかな峰々。よろずこのように、凛乎として、またきよらにありたいものです。
  大年の閑寂なるを愛しをり    宇虚人

2012年12月18日火曜日

巻爪退治

どうもいきなりに、かようなむさくるしい足の爪をお目にかけるのは、まことに申し訳もなきことながら、ちと御勘弁をいただいて、目下進行中の巻爪治療のことをご報告したい。
実は、私は、もうずいぶんと昔から、この右足の親指の左側が巻爪状態で、放っておくと、しだいに爪が肉に食い込んで赤く腫れ、ギンギンと痛み、なおかつ、中が化膿して腫れ上がったりして、じつに具合が悪いのであった。
そこで、半年に一度くらい、近所の行きつけの外科の先生に頼んで、食い込んでいる部分を外科的に切除してもらうと、嘘のように痛みがなくなるのはいいけれど、その手術たるや、麻酔などもなく、いきなり外科用のハサミの切っ先を生爪のなかに突っ込んで、生えてくる根元近くまで切り込むのだから、たまったものではない。むしろこれは、戦争中のスパイの拷問もかくやという壮絶な痛みであって、そこを先生は看護師の人たちといっしょに、わが足を押さえつけて、無理押しに切るのであった。
これはどうもかなわぬと思っていたら、勧める人があって、毎々そんな拷問に耐えずとも、よい治療法があるということを知った。
そこでさっそく行ってみたのが、ドイツ式の樹脂板を貼り付ける方法である。
また例によって、指が真っ赤に腫れて歩くのにも難儀するような痛みになってきたので、さっそく西荻窪の治療院へ行ってみたところ、ご覧のような薄いファイバー板を強力な接着剤で貼り付けるのであった。その前に、爪の表面から生え際まで、きれいに整斉し、かつ徹底消毒などしておいて、そのうえで、丁寧にこの三枚を貼り付けた。
するとその当日はちょっとした圧迫感があったけれど、痛みはたちどころに消え、二日目には違和感も消え、いまでは、このように、爪が平らに伸展して、もう食い込みがきれいになくなっている。これで何ヶ月か、樹脂板を張り替えなどしながら、伸ばしていくのだそうだが、これはほんとに巻爪の人間には福音であって、まことに素晴らしいなあと思った。
こんなふうに横幅広く伸展している足の親指を見たのは、何十年ぶりであろうか。ドイツ人はたいしたものを発明してくれたものと、大いに感謝のあまり、この写真をご披露することにしたというわけである。へい、ごめんくださいまし。