2015年1月19日月曜日

しのびねしふ


 第一句集、「しのびねしふ」(忍び音集)が出ます。
 目下のところ、『謹訳平家物語』(当初は『活訳平家物語』という題名にしようと思っておりましたが、謹訳、ということで統一することにいたしました。同時に、雑誌『観世』には、『謹訳能の本』を連載中でもありますし・・・)の執筆に全精力を傾けているところですが、さるなかにも、いままで四十年ほどに亘って作ってきた俳句のなかから、四百句を選んで句集を出すことにいたしました。それがここもとお目にかけます、『しのびねしふ』です。「忍び音」というのは、ホトトギスやウグイスが、まだ鳴き慣れぬころに、ひそやかな声で試しに鳴くことをいいます。じつは、もう長いこと、私は手元に「しのびねしふ」と題したファイルを作って、和歌、詩、俳句、訳詩、俳文などを興の至るに従って書きつけてまいりました。いままでまったく非公開で、ただ独り面白がっていたに過ぎないのですが、いつかはそのなかの俳句を選んで句集をつくろうと思っていました。それは還暦の時にと思っていたところ、還暦のときは『謹訳源氏物語』にかかりきりとなって、その余裕もなかったために、果たせませんでした。しかし、それも完成し、主宰する句会「夕星俳座(ゆふづつはいざ)」もそろそろ満四年を迎えようかという今、やっと実現に及んだという次第です。刊行は祥伝社が引き受けてくれました。
 そうして、ご覧のように、世の中の句集のイメージを覆すような、まことに素敵な書姿をまとった本として世に出ることになりました。この装訂は、現代デザイン界の巨匠、太田徹也先生がお引き受けくださいました。実際に手にとってご覧になるとわかりますが、「手に持つことの快楽、所持する嬉しさ、Objectとしての『書物』の楽しさ」を実感させてくれる、素晴らしいデザインとなりました。私自身も太田先生のデザインの「力」に、あらためて感服しているところです。
 大手の書店、またアマゾンなどでも、ぜひお買い求めくださいますよう、お願いを申し上げる次第です。定価は税抜きで1800円でございます。
 「宇虚人」は、私の俳号です。その意味は、本書のなかに書いてございますので、ここでは述べないことに致します。
 まもなく、二月の頭には店頭に並ぶことと思います。ぜひ、店頭でご覧くださいませ。
 アマゾンでは次のところを御覧ください
http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss?__mk_ja_JP=カタカナ&url=search-alias%3Daps&field-keywords=しのびねしふ

2015年1月3日土曜日

2015年新春のご挨拶


 まずは、

 新年あけましておめでとうございます。

 またもや、超過密スケジュールに追いまくられているうちに、すっかりアップデートをサボっておりまして、申し訳ありませんでした。
 おかげさまで、無事越年いたし、元気にお正月を過ごしています。
 ことしは、なにはともあれ、『活訳平家物語』の執筆と刊行に明け暮れるという予定で、現在もその書き下ろしに邁進しております。たぶん、4月には第一巻が刊行できるだろうと考えていますが、なにぶんともまだ書き上がっておりませんので、これからねじり鉢巻というところです。
 そんなわけで、みなさまご恒例の、アカシロ歌合戦とやらいう番組も一切見ることなく(しかし、見たくもないねえ、あんな馬鹿らしい番組は)ひたすら書斎に籠城して平家物語と対話するうちに年が明けました。
 正月元旦といっても、今は何もせず、ただ何もなくてもつまらないので、今年はオイシックスという会社からお節セット(ただし冷凍で届く)を取り寄せて、アメリカ人の婿殿に日本のお節料理とはなにかを味わわせるセレモニーだけはいたしました。上の写真がそのお節三段重のセットで、ほんのお印ばかりの量の、しかしおびただしい種類のおせち料理が詰めあわされています。コチコチに凍った冷凍便で届くので、大晦日から解凍を試みたのですが、解けず、結局電子レンジでチンするというお粗末。ただし、自分では、鶏ガラ鰹出汁の林家伝統の雑煮だけは作りました。
 むかし両親の健在であった時分には、兄弟眷属みな料理など持ち寄って盛大に賑やかに正月を祝い、お正月は楽しい思い出となっていますが、今はまったく様変わりです。林家では、「芋玉」というのと、「黒豆」は、必ず作るお節料理だったのですが、今年はそれも作らずに終わりました。
 元旦は、ひたすらひたすら年賀状の返事書きに明け暮れて、他のことはなにもできません。
 これであっという間にお正月も終わり、松も取れ、また忙しく暮らしているうちに、一年など、瞬く間に過ぎるのでありましょう。年々歳々時間の進みは早くなるような気がします。
 今年は5月20日に金沢アートホールで、北山吉明先生(外科医でテノール歌手)と二回目のジョイント・チャリティ・コンサートを開催の予定で、そのための練習などにこれから本腰を入れます。今年は戦後七十年にちなんで、「戦前の歌、戦後の歌」というテーマで、童謡・歌謡曲・歌曲さまざま熱唱いたします。
 ともあれ、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。