2012年8月28日火曜日

やれやれ


まことに人間の体というものは、微妙なバランスの上に成り立っているものだと、つくづく痛感している。
かねて負傷中の左手の薬指は、まだ治らないが、もう固定して一ヶ月と十日ほどたった。この間、他の指には異常な負荷とモーメントがかかるものと見えて、このところは、あちこちの関節に異常な痛みが発生して、もう、ほんとに困りはてているところである。
とくに今日は、親指の付け根の関節にひどい痛みが発生して、ほとんど物を持つこともままならぬ有様となった。
これでは困るので、明日にでもまた「手の外科」の門をたたこうかと思っているのだが、なにしろ、もとの腱断裂がなかなか治らないのが困る。
一種の老化現象であろうけれど、なんとかならぬものかなあ。イテテ。

2012年8月27日月曜日

詩のしごと


 私は、高校生のころに、詩人になりたいと思っていた。けれども、詩人になるのは簡単ではないので、国文学者になった。それでも、詩を書くことは、私の心の癖であって、歩いていても、旅していても、風呂に浸かっていても、いつも澎湃として詩が心にわきおこる。詩魔のようなものが心に住んでいるのである。そこで芸大に奉職するようになってから、歌曲や合唱曲などのために、おびただしい詩を書いてきた。写真は、そういう詩業のなかの一部分である。『新海潮音』は、イギリス古今の恋愛詩を私なりに訳したもので、それぞれの時代に相応しい日本語で古典的に訳してある。そのむこうの『あんこまパン』は、CDブックで、『あんこまパン』『めぐる季節に』『ゆけ、わが想い』の三作品(いずれも伊藤康英作曲)を楽譜CDとも一冊にまとめておさめてある。なかでも、『あんこまパン』は、私の愛唱歌で、もうずいぶんあちこちの舞台で歌ってきた。左のほうのCD二枚は、『夢の意味』『鎮魂の賦』を収めた東京混声合唱団の録音で、いずれも上田真樹作曲、いまや合唱界のスタンダードになってきた感がある。その下の『美しい星に』は、佐藤眞さん作曲の合唱組曲で、那須野が原ハーモニーホールの委嘱作品。このほかに、佐藤さん作曲の作品には『いきてゆく』という江戸川少年少女合唱団の委嘱作品がある。それから『夢の意味』の楽譜。さらに、詩画集『夕暮れ巴水』が、いちばん向こう側に置いてある。
 今私は、新しい抒情歌集『ふるさとへ』を作詩したところで、これは来年の春に佐野成宏さんのリサイタルで初演される予定である。こういう仕事の延長線上に、新作能『聖パウロの回心』や、オペラ源氏物語『MABOROSI』などの仕事があるのである。今も、詩を書いているときが、いちばん楽しい。