2009年2月27日金曜日

薩摩の美味

24日から26日まで、鹿児島に講演に行ってきた。このほど、
鹿児島市営の維新ふるさと館での常設展示がリニューアルになり、
そのうちの一つとして、拙著『薩摩スチューデント、西へ』を原作
として製作した短編映像が常設で映写されることになった。それ
で、私はその製作に全面的に協力したということもあって、リ
ニューアルオープン記念の講演会に出向いたというわけである。薩
摩では、篤姫に続いて、薩摩スチューデント渡航150年を記念
して、これをNHKの大河ドラマにという機運が高まっていた。ほ
んとうにそうなるといいなあと、私も願っているところである。そ
んなこともあって、鹿児島の誇る城山観光ホテルに一宿して、そこ
なる料亭楽水で鹿児島市からの接待があった。御馳走になったのは
薩摩の郷土料理のあれこれで、これがまたじつに美味しかった。写
真は、黒豚のスペアリブの甘露煮と、薩摩名物鶏飯(けいはん)で
ある。前者はこってりと濃厚、後者はさっぱりと風流な味で、大変
に結構なお料理であった。薩摩はなにかと美味しいものが多いの
で、訪ねるのが楽しみである。

2009年2月15日日曜日

令月俳座

このごろは、妙に俳句とのご縁があって、つい先頃も、黛まどかさ
ん主宰の百夜句会の末席を汚してきたところだけれど、昨日の宵方
にはまた、大輪靖宏先生主宰の「令月俳座」という句会に参加して
きた。この一座は、ホトトギス系の方たちと、大輪宗匠の門下生た
ちとから成り、老若男女闊達自在、大学院の演習みたいな空気が楽
しかった。さて、いざ選句という段になると、出てきた句がみな面
白く、よく出来た句ばかりで、選ぶのはなかなか悩ましいことで
あった。私の句は、
  知らぬ駅に夜汽車停りゐて雪しきる
  大根葉もたたけ菜飯でひと馳走
という二句が辛うじて選のはしっこに入ったが、これでなかなか奥
の深い遊びだなあと面白く思ったことである。写真は、私の向かっ
て左が大輪靖宏宗匠、その左に俳人の坊城俊樹さん、その他、座友
のみなさん。

2009年2月8日日曜日

アーツ&クラフツ

きょうは、東京都美術館で開催中の、『アーツ&クラフツ展』の記
念講演会で、二時間近い講演をしてきた。おかげさまで満席どころ
か何十人も溢れてしまって入場できない人が出る大盛況であった。
『私にとってのアーツ&クラフツ』という演題で、イギリスにおけ
るアーツ&クラフツ運動の概略と、日本の江戸時代における職人た
ちの工芸品、あるいは、光悦や琳派の工芸美術、そして日本版アー
ツ&クラフツ運動である民芸運動、さらには、ラファエル前派の芸
術と、ジャポニスムの関わり、あるいは、ハワードの田園都市構想
とアーツ&クラフツとの関連、などあらゆる視点から、この運動を
概観しながら、同時に、日常のなかにひっそりと存在している「親
しみ深いアーツ&クラフツ」という視点で、工芸品や景観、あるい
は書物の装訂などなど、42点ほどの映像を映写しつつ、お話してきた
のであった。写真は、その都美術館の前に建っている旧東京音楽学
校奏楽堂の佇まい。これも取り壊されるということになったのを、
作曲家の黛敏郎氏らが熱心に保存運動をしたおかげで、今日の姿
で、ここに移築保存されているのである。なんでも取り壊して建て
直すという、日本の体質はほんとうに芸術の敵といってもよい。こ
の奏楽堂では一昨年の六月、『バロック声楽曲の夕べ』という催し
があり、峯貞子先生のお勧めで、私も一曲、パスクイーニという人
の『静かなる憩いのうちに』というレチタティ−ヴォとアリアを独
唱したことがある。いや、その前にも、日本歌曲コンクールの作曲
部門で、櫻井順さんの作曲した『軽い機敏な子猫何疋いるか』とい
う歌を初演独唱したこともあった。とても歌いやすい良いホールである。

2009年2月1日日曜日

ベンツの試乗記

 もう何年になるだろうか。メルセデスベンツが出している『メル
セデスマガジン』という宣伝雑誌があって、そこに、「リンボウ先
生のメルセデス三昧」という試乗記の連載を書いている。この雑誌
は季刊なので、年四回に過ぎないのだけれど、わが愛するメルセデ
スのいろんな車にたっぷりと試乗できるので、これは仕事ながら
もっとも楽しい仕事である。試乗といっても、一週間ほどもずっと
借りておいて、その間どうかすると、名古屋とか大阪とか、いろん
なところまで長距離を走っていくこともある。この連載は、写真も
文章も私が一人でやっているので、まあ大変といえば大変だけれ
ど、楽しさも二倍だともいえる。大変なのは、撮影する場所を探す
ことである。自由に車を置いて撮影できて、しかも、風景のいいと
ころを探すのは、ひとつの腕の見せ所だが、日本中探せば、案外と
いいところが見つかるものである。上の写真は、E320CDI、
最近乗った車のなかでは白眉ともいうべき名車。エンジンは最新鋭
のディーゼルだが、その滑らかで、トルクが豊かで、しかもセク
シーな味わいのあること特筆ものである。高速を走っていて、これ
ほど安全・快適、かつ楽しい車は比類がない。しかも一給油で
1200キロくらいは軽く走るという低燃費である。うーむ、感心。も
しお金があったら、なにを差し置いても、ぜひ買いたい車。これほ
どの傑作は当今の日本の車にはまったく見あたらない。下のかわい
いのは、ベンツが作っている超コンパクト、スマートである。こん
なに小さくても、ドアの閉まる音などは、優に高級セダンに匹敵す
る。運転席に座ると、その強固なボディとい、重厚な走りかたとい
い、どうしてどうして、やっぱりこれがベンツの味がする。さて、
これらの撮影場所、どこだかお分かりになるだろうか?