2020年11月23日月曜日

『源氏物語の楽しみかた』


 このほど、祥伝社新書の一冊として、『源氏物語の楽しみかた』という本を上梓した。この本は、もともと単行本の『謹訳源氏物語』の別巻として刊行した『謹訳源氏物語私抄』の改題再刊であるが、このような形にするに当って、再びよく校訂を施し、親本に散見した誤りはこれを正し、引用した謹訳についても、すべて『改訂新修 謹訳源氏物語』の本文に改めた。

 『源氏物語』は、非常に長い、またさまざまの要素が錯綜した作品ゆえ、ざっと一読しただけでは見えてこないところも多い。そこを、テーマを分け、ひろく作品全体を見渡しながら、この偉大なる作品の読みどころを考え、どう読んだら面白いところがくっきりと腑に落ちてくるかということを、私なりに縦横に論じたものである。いや、論じたといっても、学術論文のように堅苦しいものではなくて、気軽な読みものとして読めるように、誰でも理解できるように優しく楽しく書いたものである。ぜひ、ご一読をいただければ幸い。

2020年11月3日火曜日

『秋宵偶感』の動画アップ


 前回は、二宮さん作曲の『旅のソネット』の動画をアップしたのだが、それを歌ってくれたバリトン倉藤理大君のリサイタルで、アンコールで初演してくれたのが、新しい歌曲『秋宵偶感』であった。この歌のためには、倉藤君の澄明な声調で歌って貰えたのは幸いであったとおもう。そこで、『旅のソネット』と同じように、その歌に相応しい写真画像を番わせて、歌詩を字幕で示すという動画を制作して、これもYouTubeにアップしたところである。
 今回は、ロンドンの古い建物の写真は、私の手許にはあまり良いのがなかったので、友人でロンドン在住のアーティストであり著述家でもある、大澤麻衣さんにお願いして、彼女の撮影した厖大な写真のなかから適宜選んで提供していただくことになった。ありがたいことに、すばらしい写真を数多く送って下さったので、この歌のためには、なによりの力となった。
 作曲したのは、若き気鋭の作曲家深見麻悠子君である。深く考え、良く練った楽想で、私の詩を美しい歌曲に作ってくれたのを、私は心から嬉しく思っている。深見君は、次の作品も書き上げたところで、それも遠からず初演をしたいと思っている。とてもセンスの良い、また歌って気持ちのよい歌曲ができた。さらにそれをまた、こうして楽しくも味わい深い動画に作ってくれた井上迪子君にも、心からの感謝をしているところである。皆さまぜひ、この新しい歌曲をお聴き下さい。

 『秋宵偶感』  https://youtu.be/BEPODiu0GOg