2010年6月29日火曜日

夕顔の勉強


 まことに御無沙汰でもうしわけありません。久しぶりの更新です。
 さて、昨日は、新宿の朝日カルチャーセンターの稽古舞台で、『謹訳源氏物語と能』というシリーズ講義の第一回であった。テーマは『夕顔』。ご存知、源氏物語の夕顔の巻を素材に作劇したものだが、じつはこの能はなかなか古い作品で、しかも相当に内容は難しいところがある。同じ夕顔に材を取る『半蔀』が、かなり分かりやすい形で原作を脚色しているのに比べると、『夕顔』のほうは、それとはっきりとは解らない形にして溶け込ませてあるので、よくよく読まないと解らないところがある。そこで、今回は、延々三時間の講義で、前半の90分は、主に私がその詞章についての、テキストとしての解釈を述べ、後半の90分は、観世流能楽師宗家直門の坂口貴信君に来てもらって、実際に演能する場合の、音楽的、演劇的、さまざまな側面を実演入りで解説してもらうという、贅沢、欲張りな企画であった。坂口君は私の芸大時代の教え子であり、また実は、私の秘書坂口翠君の実兄でもある。翠君も芸大の能楽の出身で能が本職だから、今回は、彼女も舞の囃子の笛の唱歌やら、クセの謡の小鼓やらで兄妹共演ということになった。ますます贅沢で、じつに楽しかった。聴講者がわずか40人たらず(会場が狭くて、そのくらいしか入れない)であったのは、まことに残念であった。
 終ってから、三井ビルの地下にある、亀戸大根の店升本で、大根尽くしのご飯など食べた。写真は、私といっしょに写っている好男子が坂口貴信君。下の写真は、その升本の「大根葛餅」というデザート。