2019年2月26日火曜日

りんぼう貝


 
 いよいよ誕生日も過ぎ、夫婦そろって七十歳の春となった。
 それゆえ、その誕生日をお祝いしてくれるという名目で、娘一家と江の島で集合、春の良い一日を、のんびりと孫どもらと遊んでくらした。
 雨という天気予報は幸いに外れて、雲もない快晴となった江の島は、気温も十六度ほどになり、すこしも寒いということはなかった。
 しかし、びっくりしたのは、平日の午後だというのに、江の島が観光客でごった返していたことである。その大半は中国からの観光客とおぼしく、そこらじゅうで中国語が飛び交っていたのは、時代とは申せ、驚かずにはいられない現実である。十歳を頭に、二歳の末娘まで、四人のアメリカ孫どもはみんな元気で、運動神経抜群の末娘は、江の島のあの山のてっぺんまでスタコラサッサと歩いて登った。小さな体からすると、すばらしい運動能力である。それから、さらに頂上の灯台展望台までも歩いて登って、平然たる面持ちであったのには、ほんとうに驚かされた。それから、丘の上の芝生で駆けずり回るやら、夕方の砂浜に出て貝殻を拾うやら、孫たちにとってはまことに楽しい江の島遠足となった。
 そして駐車場に戻る途中で、総領孫息子が、この「りんぼうがい」という石畳のタイル表示を発見。へええ、こんな貝があるのか、とびっくりするやら、なにやらおめでたい気がするやらで、喜んで写真に収まったというわけである。
 このあと、片瀬海岸のレストランでアメリカ孫たちは、ステーキなどをどっさりと食べて上機嫌で帰った。
 よい春の一日であった。