2013年4月14日日曜日

謹訳源氏物語、完成

いやはや、まことに永のご無沙汰にて、更新をさぼっておりましたこと、深くお詫び申し上げます。
じつは、かねて執筆中の『謹訳源氏物語』の、最終第十巻の書き上げに忙殺されておりましたので、更新の余裕なく、失礼をしたような次第です。
おかげさまで、その第十巻の最終帖、夢浮橋も、とうとう書き上げました。思えば2009年の8月1日に起筆してから三年半、2010年の3月に第一巻を刊行してから三年の間、すべてを犠牲にしてこの作品の完成に力を尽くしてまいりましたが、それも、やっと完成の日をむかえることができましたことは、まことに感無量であります。その間、東日本大震災やら、老父の死、妹の死、そして義父の死と、つぎつぎと近親の人を送り、最後のほうは狭心症の発作に襲われるやら、目が悪くなるやら、まさに命がけという実感のある仕事でありました。
しかし、天神地祇の加護か、御先祖さまのお護りか、無事最後まで書き上げることが出来ましたことは、なにより嬉しく有り難いことと思います。
そこで、この荒行のような厳しい仕事の完成を、学生時代からの親友二人が、祝ってくれることになり、昨日、久しぶりに三人会合して久闊を叙し、かつはまた世外の清談愚談に時を移したという次第です。
この二人の親友に恵まれたことは、私の人生の最大幸福事の一つですが、写真の右は田崎誠君、真ん中は奈蔵功修君、であります。二人とも慶應の経済学部を出て、それぞれ三菱商事と三井物産に就職し、今はほぼ悠々自適に近い生活をしています。もともと田崎君と私は、慶應義塾のクラシカルギタークラブの仲間で、学生時代から一緒にそこらじゅう旅行して回ったり、ごくごく親しい間柄であったのですが、その田崎君の学部に於ける友人が奈蔵君で、彼はどういうわけか、田崎君と一緒に、しばしばギタークラブの溜まり場に遊びに来ていて、そのうち、三人は刎頚の交を修したのでありました。
まさに、三人揃って元気に今日の会合を持ち得たのは、幸いなる哉人生、の実感があります。
私どもは、こうして会合しても、みな酒もタバコもやらないので、まことに清々颯々、座談は天地人三才に亙って汲めども尽きせぬ興趣があります。酔眼朦朧たる諸君にはとうてい味わい得ない閑雅脱俗の仙境と、私どもはそのように自負しているところであります。竹林の七賢人ならぬ、妙竹林の三愚人と、このように自称しております。
ともあれ、『謹訳源氏』の執筆完了をご報告し、あわせて皆さまのご鞭撻に深謝申し上げます。刊行は六月初旬の予定ですので、いましばらくお待ち下さい。
写真は、新宿の水炊き処『玄海』にて。