2015年12月10日木曜日

これはうまい!

食いしん坊の私としては、いつも気になっているのは、たとえばお寿司屋さんの賄いってものは、どんな具合になってるのだろう、ということである。そう思うのは私に限らないと見えて、なかには賄いで出していたのを、おいしいので表メニューにしたというような例も仄聞するところ。
 さて、そんな話を、私はいつもわが愛する早稲田の八幡鮨で談論風発していたところ、たとえば寿司ネタを取ったあとに残る鮪の血合などは、しばしば賄いの一品になるということを聞いた。ああ、それはうまそうな、と、根っからの食いしん坊根性が蠢動して、たべたい、たべたいと願っていたところ、
 「ちょうど今日仕入れて、新鮮な血合がでましたから」
 といって、おすそ分けに与った。いや、これはありがたい! さてこそ、感謝感激、もともとこの八幡の鮪はほんとうに素晴らしい一級品ばかりを仕入れてくることがわかっているので、血合だって一級品に決まってるのである。
 そこで、私はこれを持ち帰って、さっそく唐揚げに作ることにした。
 いや、非常に簡単なので、まず、清酒+みりん+減塩醤油を、そうさなあ、2:1:3くらいの割合に合わせ、そこへ、ほんとうにこれは思う存分、たっぷりの卸し生姜をドンといれて、そこへ一口に切った鮪の血合を漬け込むこと、約10分ほど。
 ここから先は、二通りのやり方がある。一つは、そのつけ汁もろともに小麦粉を加えて、比較的重い衣を付けて揚げるやりかた。これはたっぷりの油で揚なくてはならぬ。
 もう一つは、つけ汁から出してバットにでも並べた鮪に、小麦粉(または片栗粉)を打って、薄くまぶしてカリリっと揚げるやりかた。
 今回は、この打ち粉方式で、少量の油でシャロウフライにした。このほうが油の含浸量が少なく、ヘルシーであろうと考えたのだ。
 そして出来上がったのがこれ。色は黒いが、味はごく上品に淡い味である。しかし、醤油と生姜の香りが立っていて、血合の生臭さはほとんど皆無、じつにじつに美味掬すべきものがあった。八幡鮨に感謝!